RINASCIMENTOはイタリア語

 最近、私の花粉センサーが作動しているようですが、気のせいでしょうか?

 さて、昨日の続きです。

 裁判所が審決書の記載事項と審理のあり方について述べた箇所について(判決文12頁~14頁)。

 審決書の記載事項について
 
 審決書には、「結論」のみならず、結論を導く「理由」を記載しなければならない(商標法56条、特許法157条2項)という前提を述べたた上で、さらに、
 『登録商標不使用取消の審判における結論を導くための論理は,上記に述べたとおりであるから,審決書の「理由」には,①法規の要件に該当する具体的な事実主張(立証命題)が何であるか,②具体的な事実主張(立証命題)が,証拠によって裏付けられるか否の判断が,論理的に過不足なく記載されることが必要となる。
 と述べています。
 
 そして、本件の審決書については、
 『審決書に,具体的な要件事実と無関係な主張を,そのまま記載する意味はないのみならず,本件審決書の全体をみても,審理の対象である原告(被請求人)の主張に係る「商標権者,専用実施権者又は通常実施権者のいずれかが,・・・指定商品・・・についての登録商標の使用をしている(事実)」に該当する具体的事実(立証命題)が何であるかについて,明確な記載がされていない。
 上記のとおり,本件審決書では,審判において,原告がどのような具体的事実主張をしたかについての明確な記載がされていないため,本件取消訴訟に至って,審判段階において原告が商標を使用した具体的事実の主張(立証命題)と,取消訴訟段階において原告が使用した具体的事実主張(立証命題)とが,同一のものであるか否かも争点となったが,その当否を的確に判断することができない。
 また,審決書の「審決体の判断」において,当事者が提出した個々の証拠に対する評価に関する記載はあるものの,具体的主張に関する明確な記載がないため,原告の主張に係るどのような具体的な事実部分が排斥されたために,審決の結論に至ったかについて,その論理の当否を判断することができない。
 その点において,審決書の記載について,工夫の余地があるものといえる。

 と述べています。
 う~ん、どんな審決書だったのでしょう。まだアップされてないですが…

 審理のあり方について

 『本件審決においては,原告が乙1ないし4(本訴甲4ないし8)に基づいてした立証に対して,「スーツの具体的取引書類である,例えば,注文書,納品書,支払伝票等の提示がない」ことを主たる理由として,排斥している。
 しかし,①裏生地に使用商標「RinAsciMento」及び「原告の商号の記載されたタグ」が付されたスーツの写真,②「Rinascimento」が表記されている伊勢丹新宿店のフロアーマップのホームページの写し,③原告が伊勢丹新宿店において,商標「RinAsciMento」を使用しているとの陳述書面等が,原告から提出されているのであるから,それらを総合すれば,ある程度の心証を形成することはできると解するのが合理的である。それにもかかわらず,審判体が,取引書類の提出がないという経緯をもって,商標使用の事実を排斥するのであれば,少なくとも,審理に際して,原告に対して,取引書類の提出の可否,不提出の理由等について,釈明を求めるべきである。その点において,審理運営についても,工夫の余地があるものといえる。

 “釈明を求めなかった”というのが…っぽい?
 色んな面で裁判所の方が特許庁よりもユーザーフレンドリーな感じを受けますが(裁判に関わったことのある方、そう思いませんか?)、そんなところが滲み出ている箇所だなぁと思ったりして…?

 以上が、審決書の記載事項と審理のあり方について述べていた箇所でした。
 ちなみに、この箇所、裁判所の判断の項の3分の1程度のページ数を割いています。

 ところで…
 「RINASCIMENTO」をネット検索すると、イタリアのインポートブランドとして出てきたりしますが、これは被告R社のブランド…?どなたかご存知ですか?

 ということで、本日はこの辺で。
 明日も見てもいいよ、という方、ぷちっと押していただけると嬉しいです。
 ↓↓↓
 
-------------
この記事をご覧になって、商標に興味を持たれた方は…
  本店「商標登録出願サイト」にも是非お立ち寄り下さい。
   ★商標の基礎的・一般的な知識などをご紹介しています。 
   ★その他にも、商標のお役立ち情報をご紹介しています。一例をご紹介いたします。
  ・新規事業・フランチャイズ化をお考えの方は「ネーミングと社名の商標登録出願」へ。
  ・ネット上でネーミングなどを使用するときは「ますます高まる商標登録の重要性!
  ・商標に関して実際にどんなトラブルがあるかは「商標にまつわるトラブル事例集」へ。
   ・「商標登録FAQ」では商標に関してよくあるご質問をQ&A形式でご紹介しています。

コメント

  1. 取消された原審決の入手方法
     取消された審決(原審決)は、次の審決が出るまでは、IPDLの「審判検索」「審決速報」に残っています。本件(2007-301265)、まだ間に合います。審決が取消されたらこまめに集めておくと、「知財高裁に取消された原審決集」として、著作権の問題もなく、出版して稼げるのではないでしょうか? そんなことをすると、痛い目にあいそうですが…

  2. Unknown
    こんにちは!
    「審決速報」に掲載されてますね!恥ずかしながら知りませんでした(「審決公報DB」でしか検索していませんでした)。
    ありがとうございました。

    う~ん、なるほど、そういう商売もあり得る?…

タイトルとURLをコピーしました