意匠新着審決【3条1項3号系】

 木曜日になりました。意匠の新着審決をご紹介する日です。今晩は横浜にお酒を飲みに行く予定ですので楽しみです。
 さて、頑張って行ってみよー!


■■■意匠新着審決【3条1項3号系】


●不服2009-23786
意匠に係る物品「乗用自動車」


本願意匠(意願2006-27830)と引用意匠(意匠登録第1061313号:「貨物運搬車」)は非類似と判断されました。
*判断主体: 看者
*公知意匠の参酌?: 『この種意匠の需要者にとって、正面部を確認せずに意匠の把握はあり得ず、通常看者は、正面視と正面側斜視からの観察を重視し、形態上の特徴をとらえ、意匠を把握するものである。

本願意匠

引用意匠

 『正面部のヘッドライト部から下側部分について、本願意匠は、ヘッドライト部は大きめの略三角形状で、両ヘッドライト間に丈(高さ方向寸法)の低い略扁平逆台形状フロントグリルを下端をそろえて収め、それらの直下に、左右の小開口部と中央の略扁平逆台形状開口部という3つの開口部を設けたフロントバンパーを配し、そのフロントバンパー上辺を、左右端に向けてヘッドライト部下縁に沿わせて反り上げ、車体側面との角部で最高とし、車体側面がわをフロントタイヤハウスまで下降直線としているため、車体がフロントバンパーに埋め込まれたような様相を呈しているのに対し、引用意匠は、ヘッドライト部とフロントグリルは、丈が同一の水平方向に細長い矩形状で、横一列に形成され、それらの直下に車体部が細く帯状に表れ、その下に矩形状開口部を1つ設けたフロントバンパーを配しているため、ヘッドライト部とフロントグリルが配された横帯状部が車体に埋め込まれたような様相を呈しており、本願意匠の三角形状や逆台形形状を「べた」に組み合わせたヘッドライト部とフロントグリルの様相の相違とも相まって、両意匠は、相当に異なった意匠的効果を形成しているといえ、意匠全体として看者に異なる美感を起こさせるものとなっている。



●不服2009-25223
意匠に係る物品「テーブル」

本願意匠(意願2007-32274)と引用意匠(意匠登録第1276173号)は非類似と判断されました。
*判断主体: 看者
*公知意匠の参酌: 『この種会議用テーブル等の分野において極ありふれた手法であり…

本願意匠
斜視図                                  縦断面図

引用意匠

 『…相違点(ア)(脚部の形状)が両意匠の類否判断を決定付ける程のものである以上、共通点(A)の類否判断に及ぼす影響は相対的に微弱なものとなり、また、共通点(B)ないし(D)の形状も、いずれも両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱であることから、相違点(ア)ないし(ウ)(脚部の形状、幕板の形状、配線ダクトの形状)の相まって生じる視覚的効果は、すでに共通点を凌駕して、意匠全体として両意匠に異なる美感を起こさせるものである。』



●不服2009-17397
意匠に係る物品「眼鏡用バックル」

本願意匠(意願2007-24062)と引用意匠(外国雑誌 「ARSsutoria」233号,第130頁所載,靴用飾り金具(製品番号「ART.5311」))は非類似と判断されました。
*判断主体: 言及なし
*公知意匠の参酌: 『本願意匠の態様は,この物品分野の先行意匠を参酌するところ,本願意匠に特徴的なものである…

本願意匠

引用意匠

 『本願意匠は,「眼鏡用バックル」であって,眼鏡の蔓部に装着してヒンジ部を保護すること等の用途及び機能を有するものであるのに対して,引用意匠は,「靴用飾り金具」であって,一般的に靴甲部のベルトに装着してベルトを固定すること等の用途及び機能を有するものであり,両意匠の意匠に係る物品は,直接取り付けられる物品自体が異なり,用途及び機能が全て一致するものではないが,一方で,両意匠は,装飾効果等を意図して,日常生活において身に付けるものに取り付けて使用する点で共通するのみならず,さらにその取り付け方法が,いずれも,その意匠に,身に付けるものに形成された幅広帯状形状部分を貫通させる方法である点で共通しており,両意匠は用途及び機能に共通性を有するものであるから,両意匠の意匠に係る物品は類似すると言わざるを得ない。
 『縦桟部の具体的態様の相違点,すなわち,本願意匠は,「縦桟部の横幅が正面視枠体横幅よりやや細幅とする角柱状とした上で背面側の中央部を僅かに凹円弧状に湾曲させて」いるのに対して,引用意匠は,「正面視における横幅を極細とし」ている以外,不明である点については,本願意匠において,眼鏡の蔓部に装着するという物品の特性から,縦桟部の態様,とりわけ,背面から見える態様は,よく目に付き,また,本願意匠の態様は,この物品分野の先行意匠を参酌するところ,本願意匠に特徴的なものであるから,この相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きいものというべきである。


●不服2009-25228
意匠に係る物品「椅子」

本願意匠(意願2008- 30195)と引用意匠(外国雑誌(発行国:イタリア)「INTERNI」566巻(2006年11月号)の第124頁に所載された一人掛け用いすの意匠)は非類似と判断されました。
*判断主体: 使用者?
*公知意匠の参酌: 『背もたれ部と座部とを一体とすることも、この種の椅子の分野において極ありふれた手法であり…

本願意匠

引用意匠

 『(ア)屈曲部の形状の相違は、背もたれ部と座部とを繋いで、背もたれ部と座部との各面が、側面視略「L」字状に屈曲して大きく切り替わるところであり、本願意匠が、2本の縫合線が明確に視認され、2本の縫合線との間を中央部分がやや拡幅する平坦面状の傾斜面とし、屈曲部を介して3つの面が段階的に変化する面を構成するものであり、一方の引用意匠が、単に一枚の板体を折り曲げてできるように、背もたれ部と座部とを丸凹面状に繋げて連続して変化する面を構成するものとは、面の構成が明らかに異なるものである。そうして、この相違は、単に背もたれ部と座部とを繋ぐ部分的な箇所の相違に留まらず、屈曲部が背もたれ部や底部と繋がることによって、自ずと背もたれ部及び底部の面の構成とも強く関連付けられ、すなわち、(イ)座部の形状の相違は、本願意匠が、屈曲部の下側縫合線によって、湾曲面状が前端部側から後方の屈曲部との下側縫合線に向けて、左右両端の平坦面からの下方への下りを漸次やや急としながら、湾曲面状の下方へ膨らみも漸次大きく深くして、素材の伸張される状態を表現し、湾曲面状の曲率も、一定ではなく、漸次変化し、さらに、この伸張状態によって、左右両端の平坦面が湾曲面状から浮き出ることとなって、平坦面から湾曲面状へと独自の変化する面構成を形成するものであり、一方の引用意匠が、屈曲部から前端部側へとほぼ一定の曲率を持って浅く湾曲面状としたものとでは、たとえ共通点として、人が直接触れる部分の曲面に共通性を有しているとしても、単に面構成を極緩やかな湾曲面状に形成したものと一括りにできるものではなく、両意匠の座部の具体的な面構成は異なるものと言わざるを得ない。


●不服2009-22085
意匠に係る物品「マッサージ機」

本願意匠(意願2008-23330)と引用意匠(意匠登録第1084250号)は非類似と判断されました。
*判断主体: 言及なし
*公知意匠の参酌: 『本願意匠の枕部の平面視略台形状の態様は,従前のこの種マッサージ機等の分野において見られないものである

本願意匠
 
引用意匠
平面図                                   斜視図
 
 『(A)(枕部)の態様の相違は,具体的態様として,平面視形状と隆起の構成が全く異なるものであって,マットにおける平面部の態様は,人がその上に頭を載せて横たわるという本願意匠に係る物品の特性から,よく目に付き,さらに本願意匠の枕部の平面視略台形状の態様は,従前のこの種マッサージ機等の分野において見られないものであるので,この相違点が類否判断に及ぼす影響は大きいというべきものである。
 
(B)(足載せ部),(C)(帯状縁部)の態様の相違は,本願意匠の態様自体に格別新規な特徴があるとはいえないながら,具体的態様としては,引用意匠の足載せ台と帯状縁部とを一体的に隆起させたものとは構成が異なり,その相違は,(A)の態様の相違と相まった結果,マット平面部全体の印象の差に大きな影響力を有するものであるので,類否判断に及ぼす影響は大きいというべきものである。
 
(D)(マットの底面部)の態様の相違は,本願意匠の態様は従前にみられるものではあるが,把手はマッサージ機の持ち運びを容易にするものであって,その把手の有無は両意匠の意匠全体の印象に一定の差異感を与えるものであるから,この相違はそれ相応の影響力があるというべきである。



 本日の新着審決は以上です~!
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