商標新着審決【4条1項11号・10号・15号・8条系】

あっという間に金曜日(汗)。今日はあいぎの弁理士の新しい写真が撮られる日(さらに汗)。
商標の新着審決をご紹介いたします。

■■■商標新着審決【4条1項11号・10号・15号・8条系】

●不服2009-19885

本願商標
指定商品:第25類「洋服」等
「AIR SHELL\エアーシェル」

引用商標
指定商品:第25類「被服」等
「Air-Cel」

本願商標(商願2008-87985)は引用商標(登録第2673340号)と類似と判断されました。
*称呼・外観・観念の認定・類否: 『両称呼は、いずれも5音構成よりなり、称呼の識別上重要な要素を占める語頭音を含む「エ」「ア」「ー」「ル」の4音を同じくし、異なるところは、第4音における「シェ」と「セ」の音に差異を有するのみである。
 しかして、「シェ」の音は、「シ」と「エ」の音が結合し1音として発音されるものであって、「シ」の音の母音(i)が、これに続く母音(e)と連続母音を構成することで、「エ」の音に吸収されるように発音されるものとなり、「シェ」の音は「セ」の音に極めて近似した音として聴取されるものである。
 そうすると、「シェ」と「セ」の差異音が、それぞれ称呼上比較的聴取され難い中間に位置することと相俟って、称呼全体に及ぼす影響は決して大きいものとはいえず、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは、全体の語調、語感が極めて近似したものとなり、互いに相紛れるおそれがあるものといわなければならない。

 『本願商標と引用商標とは、外観において差異を有し、観念においては比較することができないとしてもなお、称呼において類似する商標であるというべきである。』


●不服2010-4565

本願商標
指定商品:第35類「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,酒類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,食肉の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,野菜及び果実の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」等

引用商標1
指定商品:第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」
「百祥」

引用商標2
指定商品:第30類「米」
「ザ・百姓」

引用商標3
指定商品:第30類「もち」
「百笑もち」

引用商標4
指定商品:第30類「米」
「百笑米」

本願商標(商願2009-4481)は引用商標1(登録第4895329号)、引用商標2(登録第4958887号)、引用商標3(登録第5116609号)、引用商標4(登録第5138574号)と非類似と判断されました。
*総合判断: 『構成文字より、「ヒャク」「エスエイチ」「ダブリュウ」の読みを看取させるとしても、構成全体として、特定の称呼を生ずるとはいい難いものである。
してみれば、本願商標より、「ヒャクショー」の称呼を生ずるとし、そのうえで、本願商標と引用商標1ないし引用商標4とが称呼上類似するものとして、本願商標を商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定は、取り消しを免れない。

●不服2009-13134

本願商標
指定商品:第9類「電子計算機用プログラム」等

引用商標
指定商品:第9類「電子応用機械器具及びその部品」等
「XERO」

本願商標(商願2008-31504)は引用商標(登録第2706836号)と類似と判断されました。
*称呼・外観・観念の認定・類否: 『本願商標の文字部分である「ZERO」は、「(アラビア数字の)0、ゼロ、零(「新英和中辞典」株式会社研究社)」の意味を有する親しまれた英語であるから、「ゼロ」の称呼及び「(数字の)0」の観念が生ずるものである。
 他方、引用商標は、「XERO」の欧文字を横書きしてなるところ、該文字は辞書類に掲載されていない文字であって、特定の意味を有しない造語といえるものである。

*取引の実情: 『一般的には、特定の意味合い又は特定の読みを有しない欧文字にあっては、これに接する取引者、需要者は、我が国において広く親しまれているローマ字読み又は英語読みにならって称呼するのが自然であるから、引用商標は、その構成中の「XE」の文字部分を、本願商標の指定商品と同一又は類似すると認められる「電子応用機械器具」に関連する親しまれた商品名等である「XEON」を「ゼオン」、「XENIX」を「ゼニックス」、「Xenon」を「ゼノン」と発音する例にならい「ゼ」と発音するのが相当である。
 また、「XERO」の文字全体は、我が国において親しまれた外国語である英語において「xerography」を「ゼログラフィ」、「xeroradiography」を「ゼロラジオグラフィ」、「xerox」を「ゼロックス」と発音する例があることから、「ゼロ」と発音するとみるのが相当である。
 そうすると、引用商標は、「ゼロ」の称呼を生ずるものといわなければならない

*総合判断: 『本願商標の構成中の「ZERO」の文字と引用商標は、いずれも欧文字を普通に用いられる書体をもって表してなるものであるから、外観において相違し、観念については、引用商標が造語よりなるものであるから、比較することができないことを考慮したとしても、これらが上記称呼の同一性を凌駕するということができず、かつ、両商標の取引の実情等において、商品の出所の混同を生ずるおそれはないとみるべき特段の事情が存するものとも認められない

●異議2009-900284

本件商標
指定商品・役務:第35類「広告,被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」等

引用商標1
指定役務:第35類「広告」等
「FRIEAM\FRIENDS & DREAM」

引用商標2
指定商品:第25類「被服」


本件商標(登録第5225451号)は引用商標1(登録第4958679号)、引用商標2(登録第1105092号)と非類似と判断されました。
*称呼・外観・観念の認定・類否: 『本件商標は、…その構成は、縦線や横線、あるいは「コ」の字状のものなどを組み合わせて幾何図形的に極めて図案化されて表現されており、直ちに特定のアルファベットを表したと理解されるものではないのみならず、…構成全体としてもまとまりのよい図形的外観を呈しているものである。
 そうすると、本件商標は、構成全体をもって、図形の一種を表したと認識されるものであって、構成全体の特異性をもって看者に強く印象づけられ、記憶されるというべきものであるから、これより特定の称呼は生じないものといわなければならない。
 してみると、本件商標より「フレイム」又は「フリーム」の称呼を生ずるとし、これを前提に本件商標と各引用商標とが称呼において類似するとする申立人の主張は、採用することができない

*総合判断: 『本件商標は、各引用商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。

●不服2009-15769

本願商標
指定商品:第10類「ガイドワイヤ,その他の医療用機械器具」
「PRIMEWIRE」

引用商標
指定商品:第10類「医療用機械器具」等
「プライム」

本願商標(商願2008-43623)は引用商標(登録第4611308号)と非類似と判断されました。
*称呼・外観・観念の認定・類否: 『本願商標は、…構成各文字は外観上まとまりよく一体に表現されていて、これから生ずる「プライムワイヤ」の称呼も冗長なものではなく、よどみなく一連に称呼できるものであり、また、観念上特定の語義を有しない造語と認められるものである。
 そして、原審説示のように、構成中の「WIRE」の文字部分が「針金」「ワイヤ」を意味する語であるとしても、これが指定商品との関係及びかかる構成においては、特定の商品又は商品の品質等を具体的に表示するものとして直ちに理解できるものともいい難いところであるから、本願商標は、構成全体をもって一体不可分のものと認識し把握されるとみるのが自然である。
 そうすると、本願商標は、その構成文字全体に相応した「プライムワイヤ」の称呼のみを生ずるものと判断するのが相当である

*総合判断: 『この本願商標
と引用商標の称呼とは、「ワイヤ」の音の有無により区別できるものである。また、両商標は、前記の構成よりみて、外観又は観念においても相紛れるおそれはない。

●異議2009-685013 

本件商標
指定商品:第19類「Building materials(non-metallic);ceramic,faience and square cement floor tiles.」等

引用商標
指定商品:第19類「Cement」等
「TERNAL」

本件商標(国際登録第935604号)は引用商標(登録第891019号)と非類似と判断されました。
*称呼・外観・観念の認定・類否: 『本件商標は、…その構成中の「ternal」の文字部分は,菱形の図形部分及びオレンジ色の直線と視覚上分離して観察し得るものであり,また,これらの文字と図形とを常に一体のものとして把握しなければならない意味上の関連性もない。
 そうすると,本件商標は,「ternal」の文字部分のみも独立して自他商品識別機能を果たし得るものであるから,その構成文字に相応し「ターナル」の称呼を生ずるものである。しかし,これは特定の意味を有する既成の語ではないから,特定の観念は生じない。

 『本件商標から生ずる「ターナル」の称呼と引用商標から生ずる「ターマル」の称呼を比較すると,両称呼は,共に長音を伴う3音という短い音構成にあって,2音目の「ナ」と「マ」の音に差異を有するものである。そして,両音は,母音(a)を共通にする音ではあるが,それらの差異音の前音が長音を伴う音であることから,これに続く「ナ」と「マ」は,明瞭に発音されるものといえるから,この差異が3音という短い音構成にあって,両称呼に与える影響は決して小さいものとはいえず,それぞれを一連に称呼するときは,全体の音感が異なり,明瞭に聴別し得るものである。
次に,外観についてみると,本件商標と引用商標は,前記のとおりの構成からなるものであるから,その構成全体からみて明らかに判別し得るものであり,また,文字部分においても,大文字と小文字の差異があるから相紛れるものとはいえない。
 そして,観念については,いずれも特定の観念を有しないものであるから,比較することができない。

*総合判断: 『本件商標と引用商標とは,称呼,外観及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。

本日は以上です!
うーん、termal…
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この記事を読んでひろた興味を持たれた方は…

【執筆記事】
  
「知財管理」誌 VOL.60  NO.6
  (並行輸入と商標権侵害 -並行輸入の抗弁における「同一人性の要件」及び「品質管理性の要件」-)

  「知財産管理」誌 VOL.58 NO.5
  (「腸能力」審決取消請求事件(平成19年(行ケ)第10042号 審決取消請求事件)
     内容は
こちらからどうぞ

【関係事件】
 代理人になった事件です。負けたのでご紹介するのをためらっておりましたが、思い切って…。
 
平成18年(行ケ)第10367号審決取消請求事件
 なお、牛木理一先生のHPで紹介いただいているので(「特許ニュース」2007年6月29日号の記事です)、そちらも併せてご覧ください~(こちらのB-27の項です)。

【ZIP FM Z-TIME BIZ】
 ここのフォトギャラリーになぜかわたくしが。
  見付からないよ~?→2008/07/23のところ…

※注意!弁理士さんや知財部門のご担当など、クロートの方へ!
  このブログでは、わかりやすくするために、正確でない表現を使ったり、はしょったり、大雑把にしてたり、…等々してますが、目くじら立てずに見逃して下さい<(   )>
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コメント

  1. Unknown
    100SHOWは登録してあげないとかわいそうです。
    これ実務で一番困るパターンです。

    ヒャクショーの称呼が生じるとは言えないという理由付けは初めて見ました。いつもは外観がこんなに違うでしょって必死に反論しています。

    「今日のように情報媒体が多様化し、情報量が飛躍的に増大した社会においては、図形の持つ情報伝達力が文字の持つ情報伝達力と比肩するに足りる大きさを有するに至っている分野が多くなっているということができるから、図形と文字の結合商標にあっては、文字部分のみをいたずらに重視して図形部分の持つ情報伝達力を軽んずることは、特段の理由のない限り許されない。」東京高裁 H7(行ケ)52号
    と意見書にコピペしてますが、なかなか通りません。

    審査段階でもこの程度は真面目に判断してほしいものです。

  2. Unknown
    シェンムーさん

    毎度コメントありがとうございます!

    えと“「ヒャクショウ」の称呼を生じない”ことについては言及されてないと思います…(「特定の称呼を生ずるとはいい難い」とは言ってますが…)

    出願人さんは審査段階の意見書で外観についても述べてらっしゃるでしょうから、昨今の審決のトレンドに鑑みて登録査定を出してあげてもよかったのでは…
    と私も思います。

  3. Unknown
    シェンムーさん

    毎度コメントありがとうございます!

    さっき書いたコメント、修正します(汗)。

    審決では「ヒャクショー」の称呼が生じると言ってるのか言ってないのか、わかりにくいですね…

    出願人さんは審査段階の意見書で外観についても述べてらっしゃるでしょうから、昨今の審決のトレンドに鑑みて登録査定を出してあげてもよかったのでは…
    と私も思います。

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