商標新着審決【4条1項11号・10号・15号・19号・8条、判定系】 【50条等取消系】

今日は事務所の呑み会がございます。張り切っていってみよー!(違

■■■商標新着審決【4条1項11号・10号・15号・19号・8条、判定系】

●無効2009-890110     

本件商標
指定役務:第35類に属する小売等役務


引用商標1

引用商標2、3
てんし」(標準文字)

引用商標4

引用商標5
指定商品:第30類「ココア,チョコレートの風味を有する菓子及びパン,チョコレートの風味を有する即席菓子のもと」
天使のショコラ

本件商標(登録第5229401号)は引用商標1~5(登録第1457789号等)と類似と判断されました。
*本件商標の称呼・外観・観念の認定: 『本件商標は、…その構成中の「天使」の文字は、「神の使者として派遣され、神意を人間に伝え、人間を守護するもの。」を意味する語であり、指定商品又は指定役務との関係では、商品の品質、役務の質等を表すものではなく、十分に自他商品・役務の識別機能を発揮し得るものであるのに対し、「プリン」の文字は、被請求人もいうように、「卵・牛乳・香料などを混ぜ蒸し焼きにして柔らかく固めた洋菓子」のことであって、その指定商品又は指定役務との関係でみれば、対象となる商品又は取扱いに係る商品そのものを意味する普通名称又は役務の質を表すものであり、これが所有を意味する格助詞「の」を介して「天使のプリン」と表してみても、該構成中の「天使」の文字は、独立して取引に資される場合があるものというを相当とし、…
*取引の実情: 『請求人は、自らが経営する店舗の形態は居酒屋であり、店舗内で本件商標の指定商品である「プリン」を来店客に提供し、来店されたお客の特別に注文があった場合にのみ提供する商品であり、必要に応じて来店客から持ち帰りたいとの注文があれば、当該お客のためにのみ製造し販売するだけであるなど、被請求人と請求人とでは、両者の商品の販売方法、販売規模、販売ルート等極めて異なるものであるから、取引の実情に照らして出所の混同は生じることはない旨主張しているが、本号の適用に際して「商標の類否判断に当たり考慮することのできる取引の実情とは、その指定商品全般についての一般的、恒常的なそれを指すのであって、単に該商標が現在使用されている特殊的、限定的なものを指すものではない」(最高裁昭和49年4月25日判決言渡、昭和47年(行ツ)第33号)ものであるところ、被請求人の主張する商品「プリン」の製造・販売方法は、現在における特殊的、限定的な該商標の使用の実情であり、本件の判断において、かかる取引の実情は考慮すべきでなく、…
 
なお、最近の「天使のチョコリング」の事件と比べると興味深いと思います。

●不服2009-24670    

本願商標
指定役務:第29類「マーガリン,ショートニング,その他の食用油脂」
メサージュ\Message

引用商標
指定役務:第35類に属する小売等役務

本願商標(商願2007-126263)は引用商標(登録第5214017号)と非類似と判断されました。
*引用商標の称呼・外観・観念の認定: 『引用商標は、…これらを構成する各文字は、同じ書体、同じ大きさ、等間隔で表され、全体としてまとまりよく一体に構成されているものであり、該構成文字に相応して生ずると認められる「メッセージフロムコウベ」の称呼も、やや冗長であるものの無理なく一連に称呼し得るものである。
そして、構成中の「MESSAGE」の文字が「伝言、メッセージ」の意味を、「FROM」の文字が「・・・から(の)」の意味をそれぞれ有する語であり、「KOBE」の文字が、兵庫県の市の名称として親しまれた神戸に通じるものであると容易に理解させることから、引用商標全体より「神戸からのメッセージ」程の意味合いを認識させるものである。
 してみれば、引用商標は、構成中の「MESSAGE」の文字を分離抽出し、これより生ずる称呼により取引に資されるとみるよりは、むしろ、引用商標の構成文字全体をもって、一体不可分の商標として認識し把握されるとみるのが自然である。
また、他に、構成中の「MESSAGE」の文字部分のみが独立して認識されるとみるべき特段の事情は見いだせない。
そうとすれば、引用商標は、その構成文字全体に相応して「メッセージフロムコウベ」の一連の称呼のみを生じ、「神戸からのメッセージ」程の観念を生ずるものというのが相当である。

●不服2009-16307     

本願商標
指定役務:第9類「測定機械器具,理化学機械器具,電子応用機械器具及びその部品」等
SNCS

引用商標
指定商品:第11類「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)電気材料」
SNGS

本願商標(商願2008-99814)は引用商標(登録第2259641号)と類似と判断されました。
*商標の称呼・外観・観念の認定・類否: 『本願商標から生ずる「エスエヌシーエス」の称呼と引用商標から生ずる「エスエヌジーエス」の称呼とを比較するに、両称呼は共に8音の同数音であり、中間に位置する第5音の「シ」の音と「ジ」の音に差異を有し、他の音を共通にするものである。
 そして、該差異音「シ」と「ジ」は、いずれも母音(i)を共通にする歯茎摩擦音であって、清音と濁音という微差すぎない近似音であること、いずれも第6音に長音を有することより、母音(i)が強調されて発音、聴取されること、さらに差異音が称呼の識別上比較的印象の弱い中間に位置することも相まって、該差異音が称呼全体に及ぼす影響は少なく、両称呼をそれぞれ一連に称呼した場合は、全体としての語調、語感が近似し、互いに聞き誤るおそれがあるものと判断するのが相当である。

 『本願商標と引用商標は、3文字目の「C」と「G」に差異を有するものであるが、他の「S」、「N」及び「S」の各文字を共通にすることから、該「C」と「G」の各文字は近似した印象を看者に与えるものであり、両商標が、普通の欧文字をありふれた書体で横書きしたことも相まって、両商標を全体観察した場合は、外観上も類似する商標といわなければならない。』

●不服2009-2961       

本願商標
指定商品:第9類「電子応用機械器具及びその部品」
VIVION

引用商標
指定商品:第9類「電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気通信機械器具,レコード,メトロノーム,電子応用機械器具及びその部品」

本願商標(商願2007-114962)は引用商標(登録第4674694号)と類似と判断されました。
*商標の称呼・外観・観念の認定・類否: 『本願商標と引用商標の類否について検討するに、本願商標から生ずる「ビビオン」の称呼と引用商標から生ずる「ビビオ」の称呼とは、語頭から3音目までの「ビビオ」を共通にし、語尾の「ン」の音の有無に差異を有するものである。
そして、差異音の「ン」の音は、それ自体響きの弱い鼻音であり、比較的聴取されにくい語尾にあることも相まって常に明瞭に聴取されるとはいえないものである。
そうとすると、該「ン」の音の有無が称呼全体に及ぼす影響は決して大きいものとはいえないから、両称呼をそれぞれ一連に称呼する場合には、全体として語調、語感が近似し、互いに聞き誤るおそれがあるものと判断するのが相当である。

*取引の実情: 『本願商標と引用商標は、取引の実情において、出所の混同を生ずるおそれがないといえる特別の事情を認めるに足りる証拠はない。

●不服2009-15059         

本願商標
指定役務:第35類に属する小売等役務

引用商標1~13のうち、
引用商標2、3、4、5、6、9及び13は、「KIDS」「KID’S」「キッズ」の文字商標

引用商標1


引用商標7

引用商標8

引用商標10

引用商標11

引用商標12

本願商標(商願2007-45288)は引用商標(登録第1215010号等)と非類似と判断されました。
*商標の称呼・外観・観念の認定・類否: 『「Kids」の欧文字は、「子供、子供たち」等の意味を有す語として我が国では広く親しまれた英語であり、商取引においては商品が「子供用」であることを表すために広く使用されているところである。
 そうすると、本願商標は、その構成中、「Kids」の文字部分は、本願商標の指定役務との関係にあっては、「子供用の商品を取り扱う店」程の意味合いを容易に理解するというのが自然であって、これに接する取引者、需要者をして、単に役務の質、用途を表示したものと理解するにとどまり、自他役務識別標識としての機能を果たし得ないといわなければならず、本願商標からは、「キッズ」の称呼及び「子供たち」の観念を生ずるものとはいうことができない。
 してみれば、本願商標より「キッズ」の称呼及び「子供たち」の観念を生ずると認定し、そのうえで、本願商標と引用商標とが称呼上及び観念上類似するものとして、本願商標を商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定は、妥当でなく、取消しを免れない。

●判定2010-600037        

本件商標
指定商品:第9類「整流機,電信機,電話機,開閉器,電池,被覆電線,電気炉電極用炭素棒及びその部品・附属品」及び第17類「絶縁がい子」

イ号標章
使用商品:「バイク用バッテリー」

イ号標章は本件商標(登録第579338号)の商標権の効力の範囲に属すると判断されました。
*本件商標の著名性について: 『…本件商標は、請求人の業務にかかる商品「自動車及びバイク用バッテリー」を表示するものとして、取引者、需要者の間に広く認識されるに至っていたものと認めることができる。
*商標の称呼・外観・観念の認定・類否: 『本件商標とイ号標章中の白抜きされた文字部分は、似通った書体で表されており、いずれも語頭の「Y」の欧文字のみを大きく表し、これに続けて4文字の欧文字を表してなるものであるから、その特徴は共通している。
また、本件商標とイ号標章の文字の配列は、「YUA」の文字及び語尾の「A」の文字を同じくするものであり、4文字目の「S」と「N」において相違はあるとしても、全体として構成の軌を一にするものであるから、外観において類似しているものである。

 『本件商標から生ずる「ユアサ」の称呼とイ号標章から生ずる「ユアナ」の称呼とを比較すると、称呼の識別上、重要な位置を占める「ユア」の音を共通し、「サ」の音と「ナ」の音に差異を有するものである。この差異音の「サ」の音は、「舌端を前硬口蓋に寄せて発する無声摩擦子音〔s〕と母音〔a〕との結合した音節。」(株式会社岩波書店 広辞苑第六版)であり、「ナ」の音は、「舌尖を前硬口蓋に接触して発する鼻子音〔n〕と母音〔a〕との結合した音節。」(同掲書)であるから、いずれも母音〔a〕を共通にし、舌端又は舌尖を前硬口蓋に寄せて発するか接触して発するかの微差にすぎないものである。
 してみれば、本件商標及びイ号標章の称呼をそれぞれ一連に称呼するときには、語調、語感が近似したものとなり、称呼上、似通った印象を有する商標ということができる。

■■■商標新着審決【50条等取消系】

●取消2008-300373   
本件商標
指定商品:第18類「義歯」
Bio\バイオ

使用商標
製品カタログ等で、商標「“Bio”Form」を使用

本件商標(登録第0466554号)は不使用とされず登録は取消されませんでした。
*商標の同一性: 『「“Bio”Form」の文字は、全体として「“バイオ”式」、「“バイオ”型」又は「“バイオ”形態」といった意味合いを理解させるものといえる。
 …当該記載内容によれば、人工歯には各種形態があることが認められ、「バイオ形態」とは、被請求人が研究開発した人工歯の一形態を表したものと推認することができる。
 以上…によれば、使用商品1及び2に表示された「“Bio”Form」の文字は、そのうちの「Form」の文字部分が「式、型、形態」などの意味を有し、人工歯の分野においては、自他商品の識別機能が極めて弱い語であるといえるものであり、かつ、本件において、「Bio」の文字部分がクォーテーションマークで囲まれていることもあいまって、これに接する需要者は、「Bio」の文字部分に着目し、これを自他商品の識別標識ととらえて、商品の取引に当たるものとみるのが相当である。
 してみると、使用商品1及び2に表示された「“Bio”Form」は、その要部たる「Bio」の文字部分より「バイオ」の称呼及び「生体・生物体・生物などを意味する接頭語」の観念を生ずるものであって、これと同一の称呼及び観念を生ずる本件商標とは社会通念上同一の商標と認めることができる

*請求人の主張について: 『請求人は、「Bio」の文字は、バイオテクノロジーを用いた分野(義歯の分野を含む)における商品や役務を表す語として広く用いられているから、「Bio」の文字単独ではこれらの分野における商品・役務との関係において自他商品等識別機能が弱いか極めて弱い語であると考えるのが自然である旨主張するが、…登録商標が当該審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者等によって請求に係る指定商品に使用されているか否かを判断すべきものであって、本件においては、提出された証拠を総合して判断すれば、「Bio」の文字が自他商品の識別機能を果たし得る態様により使用されていると認めることができる…

●取消2009-301335     
本件商標
指定商品:第25類「洋服,帽子」等

使用商標
帽子、ティーシャツの納品書で、商標「ありがとうキャップ」「ありがとうサンバイザー」「ありがとうTシャツ」を使用

本件商標(登録4775874号)は不使用とされず登録は取消されませんでした。
*商標の同一性: 『本件商標後半部分の「GATEAU」の文字部分は、フランス語で「菓子」等の意味を表す語として我が国において広く知られており「ガトー」と称呼されるものであることから、当該欧文字全体としては「アリガトー」の称呼を生ずるものということができる。
そして、これは、該欧文字の下に併記されている片仮名の読み「アリガトウ」と極めて近似しているものである。
そうとすれば、欧文字の下に併記されている「アリガトウ」の片仮名は、当該欧文字の称呼を特定すべき役割を果たすものと無理なく認識し得るものであるから、本件商標は、全体として「アリガトウ」の称呼を生ずるものとみるのが自然である。
 そして、「アリガトウ」の称呼からは、日常一般において極めて親しまれている「有難う」、「ありがとう」の語を容易に連想・想起し得るものであるから、本件商標は、その構成全体から「感謝の気持ち」の意味合い(観念)を理解・認識し得るものということができる。
 ところで、乙第3号証の1枚目、2枚目及び4枚目号証ないし7枚目の各納品書(控)(写し)に記載されている商標は、「ありがとう」の平仮名からなるものであり、これは、本件商標と称呼及び観念を同じくするものであるから、本件商標と社会通念上同一の商標とみて差し支えないものということができる。

本日は以上です!来週も見ていただけるのであればぷちっと押してくださいね…
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※左上の画像データは名古屋市さんのご好意により提供していただきました。

この記事を読んでひろた興味を持たれた方は…

【執筆記事】
  
「知財管理」誌 VOL.60  NO.6
  (並行輸入と商標権侵害 -並行輸入の抗弁における「同一人性の要件」及び「品質管理性の要件」-)

  「知財産管理」誌 VOL.58 NO.5
  (「腸能力」審決取消請求事件(平成19年(行ケ)第10042号 審決取消請求事件)
 
 
  「パテント」誌  2011.2 Vol.64
   (部分意匠に関する判例研究 -類否判断を中心に- 包装用容器事件)
  
字数制限が厳しかったので尻切れトンボ気味ですが…

【関係事件】
 代理人になった事件です。負けたのでご紹介するのをためらっておりましたが、思い切って…。
 
平成18年(行ケ)第10367号審決取消請求事件
 なお、牛木理一先生のHPで紹介いただいているので(「特許ニュース」2007年6月29日号の記事です)、そちらも併せてご覧ください~(こちらのB-27の項です)。

【ZIP FM Z-TIME BIZ】
 ここのフォトギャラリーになぜかわたくしが。
  見付からないよ~?→2008/07/23のところ…

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