B2CからB2Bへ(おそ!)

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<平成21(行ヒ)217 審決取消請求事件>(判決文はこちら

 本日は、去年出た最高裁判決をご紹介いたします。 
 
 …って、おそ!
 
 去年の最高裁判決なんて、みんなとっくに知ってるじゃんねー?(←三河弁) なので、ごく簡単に触れるだけにします。

■原審の判断(<平成20年(行ケ)第10414号審決取消請求事件>判決文はこちら

 原審はARIKAの不使用審決取消請求事件でございまして、このブログでも取り上げてました(そのときのエントリはこちら ゃー恥ずかしい文章だ)。

 要は、商標権者さんは、本件商標「ARIKA」を表示した自社HPにて、他社商品をBtoC形態で紹介していたのですね。

 そして、知財高裁は、このような態様のサービスを「商品の販売に関する情報の提供」に該当する、と判断したのでした。

■最高裁の判断

 今回の最高裁の判断では、上記原審が是認されませんでした。

 その理由を、最高裁の判決から一部抜粋いたします。
 『政令別表第35類は,その名称を「広告,事業の管理又は運営及び事務処理」とするものであるところ,上記区分に属するものとされた省令別表第35類に定められた役務の内容や性質に加え,本件商標登録の出願時に用いられていた国際分類(第7版)を構成する類別表注釈が,第35類に属する役務について,「商業に従事する企業の運営若しくは管理に関する援助又は商業若しくは工業に従事する企業の事業若しくは商業機能の管理に関する援助を主たる目的とするもの」を含むとしていること,「商品の販売に関する情報の提供」は,省令別表第35類中の同区分に属する役務を1から11までに分類して定めているうちの3において,「経営の診断及び指導」,「市場調査」及び「ホテルの事業の管理」と並べて定められ,類似商品・役務審査基準においても,これらと同一の類似群に属するとされていることからすれば,「商品の販売に関する情報の提供」は,「経営の診断及び指導」,「市場調査」及び「ホテルの事業の管理」と同様に,商業等に従事する企業の管理,運営等を援助する性質を有する役務であるといえる。このことに,「商品の販売に関する情報の提供」という文言を併せて考慮すれば,省令別表第35類3に定める「商品の販売に関する情報の提供」とは,商業等に従事する企業に対して,その管理,運営等を援助するための情報を提供する役務であると解するのが相当である。そうすると,商業等に従事する企業に対し,商品の販売実績に関する情報,商品販売に係る統計分析に関する情報などを提供することがこれに該当すると解されるのであって,商品の最終需要者である消費者に対し商品を紹介することなどは,「商品の販売に関する情報の提供」には当たらないというべきである。』(判決文4-5頁、下線は最高裁が付したものです)

 おお、「商品の販売に関する情報の提供」は、「経営の診断及び指導」「市場調査」「ホテルの事業の管理」と同様、BtoBだと言っとるなー。
 
 ちなみに、H18改正で第35類に「小売等役務」が追加されましたが、本件商標の出願時には未だ改正されておらず、本件商標出願時にBtoC形態の商品販売役務が改正前の第35類「商品の販売に関する情報の提供」に含まれていたと解する余地はない、としています(判決文5-6頁)。

 以上より、商標権者さんの使用行為については、「商品の販売に関する情報の提供」には該当しない、との旨を判示しています。

■コメント

 以前は、「商品の販売に関する情報の提供」はBtoBではなかろかと思いつつも、知財高裁の上記判断があったのでもやもやした感じがあるまま、安全サイドに立って、「商品の販売に関する情報の提供」を指定していたこともありました。
 「小売等役務」が追加されたことにより、BtoCは「小売役務」、BtoBは「商品の販売に関する情報」という区別がはっきりしたような気がしましたが、今回の最高裁の判決でお墨付き(?)を得たような。

 本日は以上です!次回も見ていただけるならぷちっと押してくださいな(。-_-。)/
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※左上の画像データは名古屋市さんのご好意により提供していただきました。

この記事を読んでひろた興味を持たれた方は…

【紹介記事】
  知らないうちに、紹介記事を書いてくださっていました(1年近く前の講座ですが、たまたま発見しました)。
  2010年9月 岐阜県立城北高等学校での講座

【執筆記事】
  
「知財管理」誌 VOL.60  NO.6
  (並行輸入と商標権侵害 -並行輸入の抗弁における「同一人性の要件」及び「品質管理性の要件」-)

  「知財産管理」誌 VOL.58 NO.5
  (「腸能力」審決取消請求事件(平成19年(行ケ)第10042号 審決取消請求事件)
 
  「パテント」誌  2011.2 Vol.64
   (部分意匠に関する判例研究 -類否判断を中心に- 包装用容器事件)
  字数制限が厳しかったので尻切れトンボ気味ですが…

【関係事件】
 代理人になった事件です。負けたのでご紹介するのをためらっておりましたが、思い切って…。
 
平成18年(行ケ)第10367号審決取消請求事件
 なお、牛木理一先生のHPで紹介いただいているので(「特許ニュース」2007年6月29日号の記事です)、そちらも併せてご覧ください~(こちらのB-27の項です)。

【ZIP FM Z-TIME BIZ】
 2008/07/23 商標の話題で出演

※注意!弁理士さんや知財部門のご担当など、クロートの方へ!
  このブログでは、わかりやすくするために、正確でない表現を使ったり、はしょったり、大雑把にしてたり、…等々してますが、目くじら立てずに見逃して下さい
  また、判例・新着審決・最近の話題は、“ホットなうちに”スピード重視でご紹介しておりますので、読み間違い・勘間違い・理解間違い・論点見逃しがあるかもしれません。疑問を感じられたらご一報いただけるとありがたく存じます

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