結合商標のコピペ的判例あります

 いま、ここ10年で最もウェイトがあります。やばいです。
 知財的な皆さん、あまり体を動かさない仕事だと思いますが、どのようにウェイトコントロールしてますか?

 さて、昨日の続きです。
 商標フリークの皆様なら裁判所の判断が容易に予想できたのでは?
 
 ○裁判所の判断の結論
 
 原告の登録商標「AGATHA」と、
 被告が使用していた標章1~3とは、それぞれ非類似
 被告標章1:
 被告標章2:「Agatha Naomi」の欧文字11字を白抜き文字,ゴシック体様の書体で横書きして成るもの。
 被告標章3:

 ○さて。
 被告標章1~3はいずれもいわゆる結合商標(結合標章)と捉えられます。
 今回の判決では、結合商標の判断の基準として過去判例が引用されていますので、ご紹介いたします。
 『商標法37条1号に係る商標の類否は,同一又は類似の商品又は役務に使用された商標が,その外観,称呼,観念等によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して,その商品又は役務に係る取引の実情を踏まえつつ全体として類似するかどうかを考察すべきものであり,複数の構成部分を組み合わせた結合商標についても,その構成部分全体を対比して類否を判断するのを原則とすべきものであって,結合商標の構成部分の一部を抽出し,この部分だけを他の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは,その部分が取引者,需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や,それ以外の部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じないと認められる場合などを除き,許されないと解するのが相当である(最高裁平成19年(行ヒ)第223号同20年9月8日第二小法廷判決・裁判集民事228号561頁参照)。
 そのままコピペして使えますね!
 
 で、この判断基準に照らして、被告標章1~3は、
 『全体としてまとまりよいから、構成部分全体が出所識別標識としての機能を有する』
 と判断されています。

 一方、原告は、上記過去判例とは真逆の主張をしていたようですが(『二つ以上の要素からなる結合商標においては,全体を一体としてのみ把握するという特段の事情がない限り,各要素が要部となり,その要部のいずれかが他の「商標」と類似するときは,当該結合商標は当該他の「商標」と類似するというべき』)、上記過去判例からしてもこの主張は採用できない、と判断されました。
 また、原告は、『自己の登録商標「AGATHA」が原告の略称及びハウスマークとして周知だから、(被告標章の)「Agatha」の部分から「原告,原告の商品」の観念が生じる』なんてことも主張していましたが、周知性が認められない等から、この主張も採用されませんでした。

 というわけで、原告の登録商標と、被告標章1~3は、非類似と判断されたのでした。
 
 個人的には…結合商標に関する原告の真逆の主張がおもしろかったです。
 
 ちなみに、審査段階における(=登録要件としての)結合商標に関する判断は、審査基準の4条1項11号の5.の項に載ってたりしますよね。
 改めて読み返してみると、商標の構成の一部のみを対比の対象とする例が列挙されていて、“原則としては構成部分全体を対比の対象とする”的な明確な記載がなかったりする…(どこかにありましたっけ?)。当然のことだから?
 …プチ疑問でした。

 次回も見てくださる方、ぷちっと押していただけると嬉しいです。
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