数字の商標の扱い(日本&EU&欧州の国々)

自分の携帯電話の番号をいまだに覚えられないひろたです、皆さまいかがでしょうか。
数字を語呂で覚えるという方法がよく採られますが、「4649」と言えば「よろしく」、「59」といえば「号泣」、「758」といえば「名古屋」、「Azs!」といえば「あーざーす!」を表すことは、よく知られた事実ですね。
ところで、数字って、商標practiceでどう扱われてましたっけ?
数字だけで構成された商標は、原則として、「極めて簡単でかつありふれた標章(記号、数字)のみからなる商標」として、登録できないとされています。また、簡単な輪郭内に、いかにも数字を記しただけでも、登録できないとされとりますね。(商標審査基準 七、3. 4.)。
逆にいえば、「極めて簡単でかつありふれ」てない数字や、「のみからなる」のでなければ、登録され得るということですね。
例えば…
登録第3338588等
登録第5018939等
国際登録822457等
んでは、外国ではどーなんでしょー。
欧州の数字商標事情が、INTA Bulletinに簡潔にまとめられてますので、ご紹介いたします。
(原典はこちらです:INTA Bulletin February 15, 2013 Numbers as Trademarks in Europe: A Comparative Overview

■EU
The General Court of the European Union (欧州一般裁判所、GC)は、数字もCTMとして登録され得ると判断しました(Seven SpA v. OHIM, Case T-176-10 (GC Oct. 6, 2011))。 とはいえ、共同体商標規則7条に該当するものであってはならず、商品/役務の商業的な又は取引上の出所を表さないものは登録できません。商品/役務との関係で識別性があれば登録され得るということです。
上記Case T-176-10は、MARQUESのClass 46にも掲載されていましたので、ご参照のほどを(General Court: All for SEVEN- SEVEN FOR ALL MANKIND 26 OCTOBER 2011)。
ちなみに、the Court of Justice of the European Union (CJEU)の出したCase C‑655/11 Pも、つい最近、Class 46で取り上げられました(Three Sevens trump Seven for all Mankind, rules CJEU 21 FEBURUARY 2013)。

■EUと似たようなアプローチを取る欧州の国の例
・Germany
タバコを指定商品とする「1」が識別力ありとして認められた判例がある一方で( Case No. I ZB23/99 (BGH Apr. 18, 2002))、
コンピューター等を指定商品とする「18+」は”ユーザの年齢と捉えられる”として、自動車関連商品を指定商品とする「1」は”エンジンのvolumeとかpowerに関連と捉えられる”として、識別力なしとされたとのことです((Case No. 25 W (pat) 10/11 (BPatG Aug. 18, 2011) , Case No. 28 W (pat) 72/03 (BPatG Oct. 1, 2003)。
・Croatia
 EUと似たようなアプローチを取るものの、the Croatian State Intellectual Property Office (知的所有権庁)は、通常、1文字とか1数字の商標を審査せずに一律的に拒絶を打つというpracticeを取っているので、それに応答することでfull examinationが行われることになるとのことです。
登録例としては、紙製品等を指定商品とする「2&Device」、30類の食品系を指定商品とする「1955」、16,24,15類の紙製品等を指定商品とする「1950」、30類の食品系を指定商品とする「57」等があるようです。

・France
衣服及び履物を指定商品とする「29」が”製造地を表してるぽくて指定商品との関係で商標ぽい”ので識別力ありと認められた最高裁判決(June 23, 2009)があるとのことです。
・Turkey
BMWのモデルコードである「114」「216」とか、有名な接着剤「404」とか、BMWの「ONE」とか登録されています。
ただし、最近、Turkish Patent Institute(特許局)は、商標審査ガイドラインを出して、「通常書体で書かれた数字は、原則として、識別力がないものとする」等と書かれていますので、ちょっと厳しくなるかもしれません?
・Denmark と Finland
原則として、デンマークもフィンランドも、EU商標指令の基準に従って審査せねばなりませんが、以下のケースではそれがなされなかったようです。
The Danish Patent and Trademark Office(特許商標保護局)は、「42」は識別力がないと判断しました。EU商標指令の基準に従った判断ではないようです。
The Finnish National Board of Patents and Registration(国家特許・登記局)は、「2015」は識別力がないと判断しました。EU商標指令の基準に従った判断ではないようです。

■EUと異なるアプローチを取る欧州の国の例

・Switzerland
スイスはEUとちょー違います。
The Tribunal Administratif Fédéral (連邦行政裁判所)は、1文字アルファベット(A~Z)や1数字(0~10)は、商標として登録できないと判断しました(TAF B-55/2010 (G Fig); TAF B-1580/2008 (A-Z) )。たとえ商品/役務の記述的なものでないとしても、必要な識別性を備えていないと判示しています。1文字アルファベットや1数字は限りがあるので、自由に使用できるようになっとるべきだ、としています。この基準は、商標局のガイドラインにも取り入れられています。
本日は、数字の商標の扱いについて、日本&EU&欧州の国々編をご紹介しましたー。
 
本日は以上です!次回も見ていただけるならぽちっと押してくださいな(。-_-。)/
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