特許庁長官殿

ご紹介しようと温めている判決がいくつかあるのですが、最近業務が忙しくて、なかなか手が回りません(忙しい忙しいと言いながらこのブログを更新するヒマはあるのね、というツッコミは無しでお願いします)。
判決紹介が遅れてしまうと、up-to-date を真骨頂とする本ブログの良さが失われてしまう惧れがあるので、誠に遺憾です(up-to-date であることしか意義がないともいう(ディープな判決論考は偉い先生にお任せ♥))。

そんなわけで、今日は、軽く書けて読めるお話を。でも、ちょっと業務に役立つと思うので、是非お読みください。

お題は、

特許庁長官殿」。

知財業界の皆さん、願書や補正書等の【あて先】に、「特許庁長官殿」と書きますよね?

お手紙において、【あて先】はとても重要。
【あて先】を間違えると、とんでもないことになります。
ラブレターを彼女宛てに出したつもりなのに、うっかり彼女のお母さんの名前を書いちゃったりね。こわいですね。

なので、願書や補正書等の【あて先】も、うっかり間違えると、「出願ソフト」くんが、
こら!間違えてるよ!きぃー!
と警告を出してくれます(「警告」レベルだったっけ?いつもコピペでスルーしとるのでよくわからん)

ところで、「特許庁長官殿」の「殿」って、ちょっと堅苦しくない?(←女子高生風アクセントで。)

二まわり以上も離れた上司に、「僕のことは、「部長」と呼ばずに、「○○さん」でいいんだよ」と言われて、若干困り気味になった方も多いと思いますが、
特許庁長官の羽藤さんも(ユーザー)フレンドリーな姿勢を打ち出している以上、「羽藤さん」と呼ばれたいはず。

そんな気持ちを汲んで、今度、こんなふうに書いてみようかな。

【書類名】       商標登録願
【整理番号】      ******
【提出日】       平成26年**月**日
【あて先】       特許庁長官さん

「出願ソフト」くんに警告出されちゃうかな。機械は気持ちを汲めんからね。

さて、願書や補正書等の【あて先】が「特許庁長官殿」である以上、これら書類は、当然、長官の手元に届かなければなりません。

ここで、
出願人が提出した願書や補正書等が、どういったルートを経て長官の手元に届くのか。
そして、その後審査に回されるのか。
を、以下、具体的に説明したいと思います。

まず、出願書類ですが、毎朝、段ボールに詰められて、台車に載せられ、長官室にうやうやしく運ばれます。
特許庁内では、この儀式を「朝貢」というそうです(朝に行われるだけに)。
なお、この段階で、方式審査は済んでます。書式が整ってない書類を長官殿にお見せするなんて失礼ですからね。だから段ボールに詰めて台車で運ぶのは、方式審査官。

とはいえ、長官お一人で全部の出願書類に目を通すのは大変。
国内出願数だけでも、一日あたり約2,000件以上ありますし(2012年の特・実・意・商国内出願合計数を営業日数割)、その他出願を全部合わせたら膨大な数にのぼります。

一般の企業でも、目を通したんだか通さんかったんだかわからんけど、上司のハンコさえあれば「承認された」ってことになるのは、よくあるハナシです。
だから、特許庁でも、これと同じように、段ボールに長官のサイン入りシールが貼られることにより「目を通した」ってことになってるみたいです。
このシールは、割印みたいに、段ボールの開け口にまたがって貼られることになっています。

さて、この長官サイン入りシールが貼られると、特許出願については保管庫へ移動され、審査請求がなされるのをじっと待ちます。

一方、意・商の出願については、各審査部の課長が長官室に呼ばれて、担当の分野の出願書類が入った段ボールが、長官から各課長に、うやうやしく授与されます。
特許庁内では、この儀式を「授与式」というそうです。

その後、課長が各課に持ち帰りまして、段ボールが開封されるわけです(なお、特許出願については、審査請求がなされたら、その出願書類が入っている段ボールが開封されることになります)。

ところで、長官サイン入りシールは、段ボールの開け口にまたがって貼られているので、開封するとシールが破れることになります。
ところが、まれに、粘着力が弱いために、破れずにペロリとうまく剥がれるシールがあったりします(だいたい、8,000箱に1つくらいの割合であるそうです)。
そして、シールが敗れずにペロリと剥がれる現象を、特許庁内ではありがたい現象とみなし、「降臨」と呼ぶそうです。

この「降臨」現象により、うまく剥がれたシールは、額に入れられて審査室の目立つ場所に飾られます。

それより重要なのは、その段ボールに入った出願については、必ずや特許又は登録せねばならないことです。
ときどき、うそみたいに特許査定や登録査定が立て続けに届くことがありますが、それは、この現象によるものと思ってください。

一方、その現象の恩恵を受けなかった通常の出願については、通常どおり審査が行われます。
そして、審査官が拒絶理由を発見したときは、審査官名で拒絶理由通知を出すことになりますね。

そんな拒絶理由通知を受け取った出願人は、なんとか特許又は登録にもっていきたければ、意見書及び/又は補正書を提出することになります。

んが、ここでやっかいなことが……

…続きは次回のココロなのだー!

(ところで、このハナシの5%くらいだけ本当のことかもしれません。今月末までの消費税率みたいに。)


次回も見ていただけるならぽちっと押してくださいな(。-_-。)/

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コメント

  1. あて先
    「【あて先】       特許庁長官さん」
    でも出願ソフトは問題としないようです。また、
    「【あて先】 神様仏様」でも大丈夫のようです。

  2. 返答が大変遅れました
    K田で弁理士さん、コメントありがとうございます!

    返答が大変遅れまして申し訳ございません(gooブログのシステムが変わって、コメント通知が無くなったようなので…orz)

    ふわー 大丈夫なんですね!ちょっと笑えました。
    というか、試してみたんですね!ww

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