めちゃんこ久しぶりにブログ更新です。いろいろ書きたいネタはあったものの、日々のあれこれに翻弄されて、つい先延ばしに…。
今日は、キーワード検索のリスティング出稿と商標について。この問題は最近もご相談があったので、再び取り上げたいと思います。
(※以前に、こんな記事を2つ書いておりました。
http://blog.goo.ne.jp/aigipattm/e/2acec4655be5b144bb2d501c4cddcbe0
ちなみに、1つ目の記事で触れた 米国でのAmazonの訴訟は、その後、ひっくり返った模様です。)
■前提
「他人が意図的に、自社の登録商標をリスティング出稿している場合、止めさせれるの?」
この問題についてのGoogle と Yahoo のスタンスは、こんな感じ。
〇Google Adwards
https://support.google.com/adwordspolicy/answer/6118
『商標に対する Google のアプローチ
検索ネットワークの AdWords テキスト広告での商標の使用について商標権所有者様から Google に申し立てがあると、Google ではそれについて調査を行い、商標の使用について一定の制限を課す場合があります。商標権所有者様向けの詳しいヘルプ
AdWords 広告で商標を使用できるかどうかは、さまざまな要素によって決まりますが、ポリシーが適用されるのは、ポリシー センターの記載内容に該当する場合、および商標権所有者様が Google に対して有効な申し立てを行われた場合のみです。
ここで解説しているポリシーは、検索ネットワークの AdWords テキスト広告における商標使用にのみ適用されます。ただし、商標権所有者様からの申し立てに応じて、Google ネットワーク上の他のフォーマットの広告を削除する場合もあります。』
『広告文における商標
Google は、申し立て内容を確認したうえで広告文での商標の使用を制限することがあり、制限のある商標を広告文に使用している AdWords 広告は、掲載を許可されない場合があります。このポリシーは国や地域を問わず適用されます。』
『キーワードとしての商標の使用
Google は、商標権侵害の申し立てを受けた場合でも、キーワードとしての商標の使用を調査または制限することはありません。』
“広告文に商標が使用されていたら、商標権者の申し立てによって削除することはあるけど、キーワードとして使ってるだけなら、わしら 知らんよ。”
というスタンス。
〇Yahoo
https://marketing.yahoo.co.jp/guidelines/trademarks.html
『商標の権利者におかれましては、自身の権利を侵害する広告を発見されました場合は、下記5項目の資料や情報をご用意いただき、郵送にて当社までご連絡ください。
なお、商標権は、もとより「言葉」そのものをすべて排他的に支配(コントロール)することができる権利ではありません。商標は、商品やサービスに付された標章であって、商標権は出願の際に特定された指定商品(指定役務)に関して当該商標を排他的に使用できる権利に過ぎません。よって、単に自身の登録商標を他者が入札しているという行為だけをもって商標権侵害は成立しません。権利者の皆様におかれましては、当社にご連絡をいただく前に、自身のご主張が法的に妥当なものか、専門家に相談する等して十分ご検討ください。また、広告主の連絡先がわかる場合は、直接ご連絡をおとりいただき当事者間で問題を解決されますようお願い申し上げます。』
“広告に商標が使用されていたら、商標権者からの情報提供によって、掲載を中止する等の措置をとることはあるけど、単に登録商標を他者が入札しているという行為だけをもって商標権侵害は成立しないので、わしら 知らんよ。”
というスタンス。”キーワードの入札行為のみでは商標権侵害は成立しない”と明言しとります。
■本事案
A社さんのサービス名称は、その業界ではちょっと知られています。そのサービス名称は商標登録されているのですが、どうやら競業B社さんにリスティング出稿されている様子。なぜなら、登録商標でキーワード検索すると、B社さんの広告が出てきてしまうので。しかし、その広告文には、A社さんの登録商標は表示されません。
B社さんは、以前もA社さんの他の登録商標をリスティング出稿していていました。そのときはA社さんがB社さんにコンタクトを取り、話し合いで出稿中止をお願いしました。
ところが、今回、またも…なので、B社さんの確信犯的な意図的なものを感じており、話し合いだと無理かな~ という雰囲気です。
どーしよーね?
■方策?
そもそも
「リスティング出稿だけで商標権侵害になるのか」
ということが問題となります(Yahooは「ならん」と明言しとりますが)。
この問題については、いまのところ判例も少ないです。
冒頭の過去記事(http://blog.goo.ne.jp/aigipattm/e/2acec4655be5b144bb2d501c4cddcbe0)で触れた2件のみしかないように思います(違ってたらゴメン)。
1件目の「パパイヤ発酵食品事件」(平成18年(ワ)第7458号)は、広告主である競業他社を訴えたもの。原告の登録商標で検索すると、被告が原告と同種類の商品を販売している旨の広告と被告HPの表示が出てきました(ただし、登録商標自体は表示されない)。原告は、その行為が商標法37条1号に該当すると主張しましたが、認められませんでした。
2件目の「楽天市場石けん百貨広告事件」(平成26年(ワ)8187号)は、楽天を、プラットフォーマー側として訴えているのではなく、広告主として訴えたもの。原告の登録商標で検索すると、登録商標の語を含む広告が表示され、その広告のハイパーリンク先に楽天市場リスト表示画面が出てきました。
原告は、その行為が商標法37条8号に該当すると主張しましたが、認められませんでした。ただし、広告とリスト表示画面とを一体として捉えられる場合には商標権侵害が認められる余地があるとしているので、詳しくは判決文を見てね。
本事案の場合、登録商標自体が表示されるわけでないし、広告主はダイレクトに競業他社なので、1件目の「パパイヤ発酵食品事件」系ですね。
そうすると、形勢が有利とはいえない雰囲気ですね…。
(しかも、GoogleもYahooも”わしら知らんよ”のスタンス。)
だったら、不競法とか、もっとざっくりと、民法上の不法行為による損害賠償請求が認められたりしないかなー?以前話し合いがあったにも拘わらず、いまだにB社さんは「ただ乗り」しとるんだしね。
でも、警告書とか送るには、いまいちパンチがないなぁ…。
だったら、逆リスティング出稿して、B社さんを困らせちゃえ?
うーん、しかし、B社さんのサービス名称は訴求効果がなく(苦笑)、こちらにとってはリスティング出稿するだけ「損」ですわ。
でも、訴求効果がないということは、こちらの実害も知れとるのでは?
まあそうかもしれんけど、ユーザーが混同して問い合わせあったりして間接的なダメージがないともいえないし、放置した結果、実害が大きくなったりするとね…
…さて、(話し合いで解決はちょっと無理って前提で)いい方法はないでしょうか?
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