すしざんまい事件 で詠む

すしざんまい事件(令和2年(行ケ)第10107号 無効審決取消請求事件)

 

著名性 ここでも名古屋は 飛ばされた

【解説】

この判決の第一印象としての名古屋人の悲しみを詠んでみました。

この事件は、登録商標「ざんまい」が、引用商標1「つきじ喜代村/すしざんまい/SUSHIZANMAI」と混同するとして、4(1)15で無効審決が出たため、「ざんまい」の商標権者さんが提起した審決取消訴訟です。

引用商標1の著名性が認められたのと、「すし」「寿司」はお寿司屋さんサービスによく使われる語だから「ざんまい」が要部だよね等といった理由で、混同が認められております。

なお、「すしざんまい」さん、名古屋には1店舗しかなく、判示内容がいまいちピンとこず、「ああ名古屋で有名でなくても著名と認められるのだ、名古屋の影響力なぞそんなもんなんだ…」と悲しい気持ちになりました。

https://www.kiyomura.co.jp/store/slist

 

判決文 https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/248/090248_hanrei.pdf

判決日 事件番号 裁判所 種別 条文 本件商標 結論 引用商標 指定商品役務
2021/4/14 令和2年(行ケ)第10107号 知的財産高等裁判所第1部 無効審決取消請求事件 4(1)15 該当 引用商標1
引用商標2
「すしざんまい」(標準文字)
本件商標:30類「すし」

引用商標:43類「すしを主とする飲食物の提供」

判決(抜粋・簡略)
○引用商標1及び2に係る周知著名性
①被告は,…「すしざんまい本店」の名称のすし店を開店した後,東京都,北海道,栃木県,福岡県,神奈川県,大阪府において,すしチェーンである「すしざんまい」チェーン店を店舗展開し,…,店舗数が39店舗に及んでおり,同年の売上高見込み及びシェアは,全国のすし店において,いずれも第1位であり,また,「日経MJ(流通新聞)」が調査した「第39回飲食業12年度ランキング」の売上高経常利益率ランキングにおいて,被告は,店舗売上高伸び率ランキングで前年の21位から6位に躍進し,経常利益率でも5位に入ったこと,②被告は,「すしざんまい」チェーン店の各店舗において,引用商標1を表示した看板や「すしざんまい」の文字を縦書きして表示した行灯を使用し,自己の運営するウェブサイトにおいて,引用商標1を表示した上で,「すしざんまい」チェーン店の各店舗の店舗紹介を掲載していたこと,③テレビ,新聞及び雑誌において,被告が,平成24年1月の東京・築地市場の初競りでクロマグロを過去最高値の1匹5649万円で競り落としたこと,「すしざんまい」チェーン店が24時間営業のすし店であること,マグロの解体ショーを行っていることなどの話題について,全国的規模で,多数回にわたり紹介され,その紹介の際には,「すしざんまい」の文字が表示され,また,引用商標1を付した看板の映像や写真も掲載されたことが認められる。
…,「すしざんまい」の表示は,…被告が店舗展開する「すしざんまい」チェーン店の名称として,「すしを主とする飲食物の提供」の役務の需要者である一般消費者の間に広く認識され,被告の業務に係る上記役務を表示するものとして,著名であったものと認められる。
○本件商標の商標法4条1項15号該当性
本件商標は,…「ざんまい」の語は,「一心不乱に事をするさま。」(広辞苑第七版)の意味を有するから,本件商標から,このような意味合いの観念を生じる。
また,…,「すしざんまい」の表示は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,被告が店舗展開する「すしざんまい」チェーン店の名称として,需要者である一般消費者の間に広く認識され,被告の業務に係る「すしを主とする飲食物の提供」を表示するものとして,著名であったこと,「すし」に関連する登録商標の使用においては,「すし」又は「寿司」の表示を登録商標の前後に付加して使用することが普通に行われており,現に,原告においても,本件商標の「ざんまい」の前に「寿司」の文字を付加した「寿司ざんまい」の商標を使用していることに鑑みると,本件商標が指定商品「すし」に使用されたときは,被告が店舗展開する「すしざんまい」チェーン店を想起し,その名称としての「すしざんまい」の観念をも生じるものと認めるのが相当である。…,①「すしざんまい」の表示は,…,被告が店舗展開する「すしざんまい」チェーン店の名称として,需要者である一般消費者の間に広く認識され,被告の業務に係る「すしを主とする飲食物の提供」を表示するものとして,著名であったこと,②本件商標と引用商標1の要部である「すしざんまい」の文字部分及び引用商標2から,いずれも被告が店舗展開する「すしざんまい」チェーン店を想起し,その名称としての「すしざんまい」の観念を生じる点で共通すること,③本件商標の指定商品である「すし」と被告の業務に係る役務である「すしを主とする飲食物の提供は,需要者が一般消費者である点で共通し,販売の対象となる商品又は提供の対象となる商品がいずれも「すし」である点で共通することを総合考慮すると,本件商標をその指定商品の「すし」に使用するときは,その取引者,需要者において,被告が店舗展開する「すしざんまい」チェーン店の名称として著名な「すしざんまい」の表示を想起し,当該商品を被告又は被告と緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品であるかのように,その出所について混同を生ずるおそれがあるものと認められる。
備考・コメント
引用商標「すしざんまい」(標準文字)は審査段階においてキャッチフレーズとして識別性がないとして拒絶査定を受けたが、拒絶不服審判で識別性が認められ登録となった。令和2年(行ケ)第10108号 審決取消請求事件では、原告の下記の登録商標が同じ引用商標によって4(1)11で登録無効とされ、審決取消訴訟でも審決の結論が維持された。

 

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