システム全体とソフトの商標的関係とは…

 昨日の続きです。
 B社が車両位置表示システムについて「Xシステム」というネーミングを使うことが、A社の商標権「X」(指定役務:「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」の侵害となるか否かについて。

 B社は確かに、車両位置表示システム用にソフトウェアを開発していました。これが「電子計算機のプログラムの作成」に当るのでしょうか?

 「役務(サービス)」を商標的観点から分かり易くいうと“他人様のために行い、その行いによってお金を得られるサービス”のことをいいます。
 B社は、ソフトウェア開発によってお客さんからお金を直接もらったわけではありません。だから、「電子計算機のプログラムの作成」について「X」というネーミングを使っているわけでない、ということになります。
 A社、怒ってますが、残念!

 じゃあ、B社は何について「X」というネーミングを使っていることになるのでしょう?

 B社は車両位置表示システム全体を販売することによってお金を得ています。つまり、B社が「X」というネーミングを使っているのは「車両位置表示システム」という商品(商標的にいうと「通信機器」に類似する商品)なのです。そもそも「役務(サービス)」について使っているわけではないのですね(もちろん、商品と役務とが類似することもありますが)。

 ちなみに、B社がお客さんの求めに応じてシステムソフトウェアをカスタマイズしたとしても、その行いによって直接的にお金を得るわけでなければ、それは「車両位置表示システム」という商品の付随的なサービスにすぎないので、商標的な「役務(サービス)」とはなりません。

 商標出願する場合も、このような観点から適切に「役務」を指定しなければ、せっかく商標権を得てもA社のような事態に陥ることになってしまいますので注意が必要です。
 でも、適切に「役務」を指定するって、結構難しいです。こんなの見てすぐにわかりませんよね…(一番下の「別表」に商品・役務の分類が載っています)
 それで、やっぱり弁理士に相談だ!
 
 本日はこの辺で。
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コメント

  1. Unknown
    ひろたさん。
    今回の役務の記事も面白いですね。
    このブログのおかげで、商標が、大好きになりました。
    僕は役務とかで印象深いのは、
    入門講座で、役務の話題をされる時に
    マクドナルドを例に説明されていたので、今でも
    マックに行くとそのことを思い出してしまいます。

  2. Unknown
    お褒めの言葉、大変恐縮です。ありがとうございます。
    これからも、「わかりやすい&おもしろい」と感じていただけるような内容を心掛けたいと思います

    ちなみに今回の記事は基本判例が元ネタなので、見てみて下さい。

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