中部掲載新聞に弁理士会東海支部の会員が執筆する「知財あれこれ」というコーナーがあります(1ヶ月に1回登場します)。このコーナーで、去年は不正競争防止法の簡単解説を書き、今年は8月~11月の4回に亘って「弁理士コラム」という欄を担当しました。
「弁理士コラムは、弁理士っぽくない内容で」というご依頼だったので、主として山やクライミングのことを書きました。でも、東海支部の担当の方に、「先生の記事を読んで『自分は山には行けない』と思いました。」と言われてしまった…逆効果だった??
さて、昨日の続きです。
今回の争点は、サーティーワンのモットーである「We make people happy.」は不競法でいう「商品等表示」に該当するか否か、でした。
原告であるサーティーワン側は、「We make people happy.」が使われているセールスビルダーボード、メニューリスト、統一ポスター、ステッカー、テレビ放映、HP、宣伝ちらし、雑誌、新聞などの証拠を提出し、“十分に識別力があるから商品等表示と認められる”と主張しました(証拠の中には昭和49年のものもあります)。
これに対し、裁判所の判断は…
『しかしながら,上記のセールスビルダーボードや統一ポスター等の存在を証する証拠によれば,原告の店舗においては,これらのセールスビルダーボードや統一ポスター等に記載された原告文言よりも,はるかに目立つ外観上の表示をもって,(原告の)登録商標が使用されており,これと比較して原告文言はさほど目立たず,一般消費者に強い印象を与えるものではないことが認められる。
また,セールスビルダーボードや統一ポスター等に記載された原告文言に接した一般消費者は,その一文を読み取った上で,これを原告からの顧客に対するメッセージであるとともに,原告の社員ら現場における店舗の従業員に向けられた社内的な意味合いが強い社是のようなものとして受け取るものと認められ,原告文言を原告の業務に係る営業の表示として受け取るとは通常考え難い(なお,証拠によれば,一般消費者からの原告に対する電子メールの中に,原告の店舗におけるアイスクリームの販売が原告文言のとおりであるとして原告を応援する文面がある一方で,その従業員の接客態度が原告文言に悖るものとして苦情を寄せた文面のあることが認められる。)』
という否定的なもの。
その他テレビ放映、HP、宣伝ちらし、雑誌、新聞についても、長期間にわたって一般消費者の目に触れる機会が多かったものとは認められない等の理由で、
結局、「We make people happy.」は
『原告の業務に係る営業表示であるとして一般消費者の間に広く認識されていると認めることはできない』
とされたのでした。
そして、わたくしに限っていえば、「We make people happy.」を知らんかったです。
「商品等表示」でないモットーですか…
「smile ¥0」みたいなもの?
なるほど、モットーについてちょっと考えちゃったな、という方、ぷちっと押していただけると嬉しいです
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