侵害訴訟を提起したらば

<平成24年(ワ)第8346号 商標権侵害差止等請求事件>(判決文はこちら
<平成25年(行ケ)第10026号 審決取消請求事件>(判決文はこちら

<平成25年(行ケ)第10028号 審決取消請求事件>(判決文はこちら

先週金曜日のTCK決起集会のことを書こうと思っていたら、先に書かれてしまってネタがないひろたです、皆さまいかがお過ごしでしょうか。前向きスピリットを持つ仲間と知り合うのはとても刺激になり、かつ、自分自身に対する叱咤激励にもなります。これからとても楽しみです!
(*東京シティ競馬じゃないですよ!)

さて。
どどっと判決出たなーとぱらぱら見ていたら、どっかで見たようなお菓子の名前が。これらのお菓子たち、関東の方のほうがお馴染みでしょうか。今日はこれらお菓子が関わる判決3件をまとめてご紹介いたします。

■Xさん登録商標

指定商品:第30類「菓子及びパン」
出願日:平成5年9月21日
登録日:平成8年5月31日

■I社登録商標
御用邸の月」 (標準文字)
指定商品:第30類「菓子及びパン」
出願日:平成22年11月29日
登録日:平成23年5月27日

■I社使用標章
標章1

標章2


■経緯

H1        I社さんが「那須の月」の名称をカステラ(カスタードクリームを包んだもの)に使用して販売開始。
H5        Xさんが「御用邸」を出願。
H6     Xさん会社が「御用邸」の名称をチーズケーキについて使用して販売開始。「御用邸チーズケーキ」として各種新聞雑誌、ウェブページ等で宣伝広告(例えばこちら)。
H8        「御用邸」登録。
H18       Xさん会社が、チーズクッキーやバームクーヘン等、チーズケーキ以外の菓子についても「御用邸」の名称を使用して販売開始。
H22       I社さんが「御用邸の月」を出願。
H23       「御用邸の月」登録、I社さんが「御用邸の月」をカステラ(カスタードクリームを包んだもの)に使用開始。ウェブページ等で宣伝広告(例えばこちら)。

■関連する訴訟(3件)

○H24(ワ)第8346号 商標権侵害差止等請求事件
Xさん会社が、I社さんを被告として、商標権侵害訴訟を東京地裁に提起。
本件商標「御用邸」(Xさん登録商標)と被告標章1,2「御用邸の月」は類似しないとして、請求棄却判決。

○平成25年(行ケ)第10026号 審決取消請求事件
Xさん会社は、I社登録商標「御用邸の月」が4(1)7,10,11,15,19に該当するとして無効審判を請求したが、審決では請求が認められなかったので、審取訴訟を提起。

○平成25年(行ケ)第10028号 審決取消請求事件
I社さんは、Xさん登録商標「御用邸」が4(1)7に該当するとして無効審判を請求し、審決で請求が認められた。これに対し、Xさん会社が審取訴訟を提起。

審決取消訴訟の2件についてちょっと触れます。

■平成25年(行ケ)第10026号 審決取消請求事件

○結論
結論から言うと、本件商標「御用邸の月」は4(1)7,10,11,15,19のいずれにも該当しないとされ、Xさん会社の請求は棄却されました。

○理由
本件商標「御用邸の月」は引用商標「御用邸」と類似しないとして、4(1)10,11,19該当性が否定されました。また、本件商標は、出願経緯に社会的妥当性を欠く等の事実は認められず、また、公序良俗に違反するものでもないとして、4(1)7該当性も否定されました。

なお、4(1)15については、以下の理由で該当性が否定されています。
…,本件商標の登録出願時及び査定時において,「御用邸チーズケーキ」は,那須を訪れる旅行客を中心に原告の業務に係る商品を表示するものとして広く知られているものということができ,「御用邸」についても,商品や広告において,当該文字部分が顕著に表されていることから,特にチーズケーキを中心に原告の業務に係る商品を表示するものとして,かなりの範囲で知られていたものということができる。
 また,甲1,58によれば,被告は,本店である栃木県那須郡那須町所在の「お菓子の城那須ハートランド」において,本件商標を使用した土産菓子を販売していることが認められる。
 しかし,本件商標と引用商標が,外観,称呼,観念の,いずれにおいても相違する非類似の商標であることは上記のとおりである上,「御用邸」とは「皇室の別邸」であることは日本人にとって誰もが知ることであり,原告及び被告が店舗を構える那須を訪れ原告の商品に接したとしても,そこに表示された「御用邸」とは,まずもって栃木県那須郡那須町所在の「那須の御用邸」(甲53)を意味するのであって,その観念を凌駕して,「御用邸」の文字のみから原告の商品と識別するほどに,原告使用の商標が独立して周知あるいは著名となっているとは認められない(原告の商品の包装あるいは商品自体の形態や味付けなどで,原告の商品を識別するものである。)。本件商標と原告使用の商標に共通する指定商品である第30類「菓子及びパン」に本件商標を使用したとしても,これに接する需要者が,その商品の出所について,原告又は原告と経済的・組織的に何らかの関係のある者の業務に係る商品であるかのように混同を生ずるおそれがあると認めることはできない。』(判決文19-20頁)


■平成25年(行ケ)第10028号 審決取消請求事件

○結論
結論から言うと、本件商標「御用邸」は4(1)7に該当するとされ、Xさん会社の請求は棄却されました。

○理由
4(1)7に該当するとされた主な理由は以下のとおりです。
…「御用邸」が皇室の別邸であることは広く知られており,「御用邸」の文字には,皇室と関係があるかのように感じさせる効果があり,顧客誘因力がある(甲6,22)。そうすると,皇室と何らの関係もない者が,自己の業務のために指定商品について「御用邸」の文字を独占使用することは,皇室の尊厳を損ね,国民一般の不快感や反発を招くものであり,相当ではない。このことは,本件商標の登録査定時である平成7年11月16日においても,現在でも同様である。…
原告は,一般国民は「御用邸」が「皇室の別荘」と理解しても,それが現存する三つの御用邸の総称とまでの理解はないと主張するが,「御用邸」が皇室の別邸を意味することは広く知られていて誰でもが理解することであるから,理由がない。
 原告は,他にも「御用邸」の文字からなる商標や「御用邸」の文字を含む商標が登録されていること,「御所」の文字からなる商標や「御所」の文字を含む商標が登録されていることを主張するが,それらの商標登録に瑕疵があるか否かは,本件の判断とは別論であるから,理由がない。
 原告は,原告が経営する株式会社庫やでは,本件商標を用いて永年に亘りチーズケーキ等を製造販売し,那須土産として相当数の販売量を誇る人気商品となって,メディアでも取り上げられているが,皇室の尊厳を損ねる等のクレームを受けたことがないと主張するが,原告が指定商品について「御用邸」の文字を独占していることが国民一般に知られているとはいえないし,そもそもその独占自体が相当でないから,理由がない。』(判決文10-11頁)

■コメント

ここまでの結果としては、I社さん使用標章「御用邸の月」はXさん登録商標「御用邸」の権利侵害とはされず、I社さん登録商標「御用邸の月」は無効とされなかったのに、Xさん登録商標「御用邸」は無効とされました。一連の経緯を考えると、Xさんにとって厳しい結果となっています…

※その後、H25.8.8に、知財高裁による侵害訴訟の控訴審判決が出されました。下級審判決が支持され、X社さんらの控訴は棄却されました。
 平成25年(ネ)第10045号 商標権侵害差止等請求控訴事件

本日は以上です!次回も見ていただけるならぽちっと押してくださいな(。-_-。)/
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