商標新着審決【4条1項11号・10号・15号・19号・8条、判定系】No.1

 先週の金曜日に商標の新着(とは言えない)審決のアップができなかったので、月曜からせっせと埋め合わせしとります。
 件数が多かったので2回に分けました。まずはNo.1、結合商標の類否特集だ、張り切っていってみよー!

■■■商標新着審決【4条1項11号・10号・15号・19号・8条、判定系】

●不服2009-21310     

本願商標
指定商品:第9類「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」

引用商標
指定商品:第9類等に属する商品

本願商標(商願2008- 87873)は引用商標(国際登録第837140)と非類似と判断されました。
*本願商標の称呼・外観・観念の認定: 『…昨今、文字の図案化が盛んとなり、商標を構成する文字を判読できる程度に図案化して用いることが一般に行われている実情があることからすれば、本願上部のやや左よりに位置するC字状の略円弧の内部に黒丸を配してなる図形(以下、「本願図形部分」という。)が、「i」の文字の上部の点と認識し得る位置にあることと相俟って、本願商標は全体として「xiam」の文字を図案化したものと理解されるものである。
 そうとすると、本願図形部分は、「i」の文字の一部として看取されるとみるのが相当であり、「xiam」の文字から独立して自他商品の識別標識として機能するとは認めがたいものであるから、本願商標は、その構成において、本願図形部分のみが単独で取引に資されることはないとみるのが相当である。

●不服2009-8745       

本願商標
指定商品・役務:第9類、第35類、第42類及び第44類に属する商品・役務

引用商標2
指定役務:第35類に属する役務

引用商標4
指定役務:第41類、第42類に属する役務
MEDY

引用商標5
指定商品:第9類に属する商品
PAPYRUS_Doc

引用商標6
指定商品:第9類に属する商品
Papyrus

引用商標7
指定役務:第35類に属する役務

引用商標8
指定役務:第35類に属する役務
PAPYRUS

本願商標(商願2007-115127)は引用商標2、4~8(登録第3004964号等)と非類似と判断されました。
*本願商標の称呼・外観・観念の認定: 『本願商標は、…その構成中、前半部分の「MEDI」の文字と後半部分の「Papyrus」の文字の間に三日月状の図形があるとしても、その構成文字全体が、横一列に同じ大きさ、同じ色で外観上まとまりよく一体に表現されており、これより生ずると認められる「メディパピルス」の称呼も冗長はいえず、よどみなく一連に称呼し得るものである。
 そして、たとえ原審説示のとおり、本願商標は、その構成中、前半部分の「MEDI」の文字と後半部分の「Papyrus」の文字の間に三日月状の図形があるとしても、本願商標の指定商品及び指定役務との関係にあっては、かかる構成にあって、「MEDI」又は「Papyrus」の文字が殊に強く印象され、あるいは記憶されて、これらの文字のどちらか一方のみに相応した称呼をもって取引に資されるとすべき格別の事情もないことから、本願商標は、その構成文字全体をもって一体不可分のものと認識し、把握し、取引に当たるものとみるのが自然である。

●不服2009-21637       

本願商標
指定商品:第7類「金属加工機械器具,土木機械器具」等
LEVEL SET\レベルセット

引用商標
指定商品:第9類に属する商品
REBEL\レベル

本願商標(商願2007-113110)は引用商標(登録第4400453号)と非類似と判断されました。
*商標の称呼・外観・観念の認定: 『本願商標は、…上段の「LEVEL」「SET」の各文字と下段の「レベルセット」の文字とは、いずれも同じ書体、同じ大きさをもって外観上まとまりよく一体に構成され、観念上も「LEVEL」、「レベル」の各文字と「SET」、「セット」の各文字において、特に、軽重の差を見いだすことはできないものである。
 また、これより生ずると認められる「レベルセット」の称呼も格別冗長というべきものでなく、よどみなく一連に称呼できるものであり、他に構成中の「LEVEL」及び「レベル」の各文字部分のみが独立して認識されるとみるべき特段の事情は見いだせない。
そうとすれば、本願商標は、その構成文字に相応して「レベルセット」の称呼及び「水準」「一式」の観念を生ずるものである。

 『引用商標は、…、「REBEL」の欧文字と「レベル」の片仮名を上下2段に書してなるところ、その構成中の「REBEL」の欧文字は、「反逆者、反抗者」を意味する英語(「ベーシック ジーニアス英和辞典」株式会社大修館書店 2009年4月1日発行)と認められるものであるが、我が国においてその意味するところを「反逆者、反抗者」であると直ちに理解できる程度に一般に親しまれたものとはいい難いものであるから、一種の造語として認識されるものである。

●不服2009-8745       

本願商標
指定商品:第9類に属する商品
DB-Spiral

引用商標1、2,4
指定商品:第9類に属する商品

引用商標3、5
指定商品:第9類に属する商品
スパイラル」「SPIRAL\スパイラル

本願商標(商願2008- 54855)は引用商標1~5(登録第624759号等)と類似と判断されました。
*本願商標の称呼・外観・観念の認定: 『本願商標は、…前半の「DB」の文字と後半の「Spiral」の文字との間にハイフンが介在すること、及びハイフンの前半に位置する文字部分がすべて大文字で表されているのに対して、ハイフンの後半に位置する文字は語頭文字のみ大文字で他は小文字で表されているという文字種に相違があるという構成態様から、視覚上、「DB」と「Spiral」に分離して看取されるものである。
 また、本願商標は、構成全体をもって親しまれた観念を有するものとは認められないから、常に一体不可分のものとして把握されるものとは認められないものである。

 そして本願商標の構成中、前半の「DB」の文字は、本願指定商品を取り扱う業界において、商品の型式・規格・品番等を表示するための記号・符号等として、取引上、普通に使用されているローマ文字2字の一類型であり、このことは、例えば…のようにローマ文字1字ないし2字が使用されていることからも明らかである。さらに、「DB」の文字は、フリー百科事典「ウィキペデア(Wikipedia)によれば、…のように使用されているところであり、本願指定商品の中には「電子応用機械器具及びその部品」と密接な関連を有するものが含まれていることを考慮すれば、「DB」の文字部分は、商品の品質を表す語と認識される場合があり、自他商品の識別力がないものといわざるを得ないものである。
 『…本願商標に接する取引者、需要者は、「DB」の文字部分を単に商品の記号又は符号表示の一類型、あるいは、該商品が「データベースに関する商品」である等を表す語、すなわち商品の品質を表したものと認識されることから、自他商品の識別標識としての機能を果たすと認められるのは後半の「Spiral」の文字部分にあり、これより生ずる「スパイラル」の称呼及び「らせん(状)の」の観念をもって取引にあたるというべきである。

●不服2009-10102         

本願商標
指定商品:第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類」
ディフェンド\defend

引用商標
指定商品:第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」
ハイディフェンド\Hi DEFEND

本願商標(商願2008- 50273)は引用商標(登録第4667739号)と非類似と判断されました。
*引用商標の称呼・外観・観念の認定・取引実情: 『引用商標は、…上段の構成各文字は、同書、同大、等間隔に外観上まとまりよく一体的に表されており、下段の構成各文字は、「Hi」と「DEFEND」の各文字の間に1文字分の間隔をもって表してなるところ、「i」の文字とそれ以外の文字とが、小文字と大文字の差異を有するとしても、同じ大きさ、同じ間隔で全体としてまとまりよく構成されているものであるから、たとえ、その構成中の「ハイ」及び「Hi」の文字部分が、「<性質・品質などが>高級の、優れた」等(株式会社小学館 ランダムハウス英和大辞典 第2版<特装版>)の意味を有する英語の「high」に通じ、商品の品質を誇称しやすい語であるとしても、かかる構成にあっては、引用商標に接する取引者、需要者をして、殊更に前半部の「ハイ」及び「Hi」の文字部分を省略して、後半部の「ディフェンド」及び「DEFEND」の文字部分のみに着目し、当該文字部分より生ずる称呼をもって取引に当たるというよりも、むしろ、その構成全体をもって一体不可分のものと認識、把握し、商取引に当たるものとみるのが自然である。そして、引用商標の構成文字全体より生ずると認められる「ハイディフェンド」の称呼も格別冗長というべきものではなく、よどみなく一連に称呼し得るものである。
 加えて、当審において職権をもって調査するも、本願の指定商品を取り扱う業界において、「ハイ」及び「Hi」の文字が、「高級の、優れた」等の意味を有する商品の品質を誇称表示する語として、取引上、一般に使用されている事実を見出すことはできなかった。

●不服2009-23713         

本願商標
指定商品:第10類「電動式骨手術機械,その他の医療用機械器具」
LUX\ルクス

引用商標1、2
指定商品::第10類「医療用機械器具」、第9類「Surgical microscopes and parts thereof.」
Superlux

本願商標(商願2008- 74713)は引用商標(登録第5104598号等)と非類似と判断されました。
*引用商標の称呼・外観・観念の認定: 『引用商標は、…その構成各文字は、同大同書体、同間隔で外観上まとまりよく一体的に表されているものである。
 また、これより生ずる「スーパールクス」又は「スーパーラックス」の称呼も、冗長というべきものではなく、無理なく一連に称呼し得るものである。
 そして、たとえ、「Super」の文字が「上等の、より優れた」等を意味する英語であるとしても、かかる構成にあっては、引用商標に接する取引者、需要者をして、殊更に前半部の「Super」の文字部分を省略して、後半部の「lux」の文字部分のみに着目し、当該文字部分から生ずる称呼をもって取引に当たるというよりも、むしろ、その構成全体をもって一体不可分のものと認識、把握し、商取引に当たるものとみるのが自然である。

●不服2010-8370           

本願商標
指定商品:第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」
ARMY」(標準文字)

引用商標
指定商品:第25類「Clothing, namely dresses, jackets, pants, and tops.」

本願商標(商願2009-8422)は引用商標(国際登録第867683号)と類似と判断されました。
*引用商標の称呼・外観・観念の認定・取引実情: 『引用商標は、ARMY」と「PINK」の文字の配置は、上下二段に、位置をずらして書き分けられていることから、視覚上も分離して観察されるものである。さらに、構成中の「PINK」の文字は、本願指定商品の分野においては、色彩の一つを表すピンク(桃色)を意味する平易な英語であることからすれば、当該文字は、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないか、又は、その機能が極めて弱いというべきものである。また、「ARMY」と「PINK」の文字を組み合わせた「ARMY PINK」が、一連の熟語として特定の意味合いを有するともいい難いものであるから、観念上、これらが常に一体不可分のものとしてのみ、認識、把握されなければならない格別の事情も見いだせないものである。加えて、引用商標の構成中の戦車と思しき図形や銃を携えた兵士の図形部分からは、「軍隊」の観念を極めて容易に想起するところ、「ARMY」の文字部分から生ずる観念とも合致することとあいまって、「アーミー」の称呼、「軍隊」の観念が強く印象づけられる場合も少なくないというべきである。
 そうとすると、簡易迅速をたっとぶ取引の実際においては、それ自体独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得る「ARMY」の文字部分に着目し、これより生ずる称呼、観念をもって取引に当たる場合も決して少なくないものというのが相当であるから、引用商標は、その構成文字全体に相応した「アーミーピンク」の称呼のほかに「ARMY」の文字部分に相応した「アーミー」の称呼及び「(一国の)軍隊」の観念をも生ずるものと判断するのが相当である。

*請求人の主張について: 『請求人は、インターネット上の販売サイトにて、引用商標が「アーミーピンク」と認識されていること…を挙げ、本願商標と引用商標とは類似しない旨主張している。しかしながら、インターネット上に請求人が主張するような表示があるとしても、商標の類否の判断は、取引者、需要者がどのように認識するのかとの観点から個別具体的に判断すべきものであるところ、引用商標については、「ARMY」の文字部分が、自他商品の識別標識としての機能を果たすことは上記のとおりである。
 No.2がまだあるの。見ていただけるならぷちっと押してくださいね…
 ↓↓↓
 

この度の大地震で被災された方々及び亡くなられた方々に心よりお見舞い申し上げますと共に哀悼の意を表します。
東北地方太平洋沖地震:お役に立てる情報を…
↑↑↑
被災者の方にお役に立つであろう情報(政府系・企業系HP以外)をピックアップしてまとめております。新しい情報を順次追加しております。
何らかの形で被災者の方に届くと幸いです。

被災しなかった地域・被害が小さかった地域の方へ
↑↑↑
支援活動をお考えの方にお役に立つであろう情報をピックアップしてまとめております。新しい情報を順次追加しております。

==========
 あいぎ特許事務所のfacebookです!
 宜しかったら「いいね」ボタンを押してあげてください。所員のO,T,M,Kが頑張って更新しています(たまに姐御HMも登場)。
 

**********************************

※左上の画像データは名古屋市さんのご好意により提供していただきました。

この記事を読んでひろた興味を持たれた方は…

【執筆記事】
  
「知財管理」誌 VOL.60  NO.6< br />  (並行輸入と商標権侵害 -並行輸入の抗弁における「同一人性の要件」及び「品質管理性の要件」-)

  「知財産管理」誌 VOL.58 NO.5
  (「腸能力」審決取消請求事件(平成19年(行ケ)第10042号 審決取消請求事件)
 
 
  「パテント」誌  2011.2 Vol.64
   (部分意匠に関する判例研究 -類否判断を中心に- 包装用容器事件)
  
字数制限が厳しかったので尻切れトンボ気味ですが…

【関係事件】
 代理人になった事件です。負けたのでご紹介するのをためらっておりましたが、思い切って…。
 
平成18年(行ケ)第10367号審決取消請求事件
 なお、牛木理一先生のHPで紹介いただいているので(「特許ニュース」2007年6月29日号の記事です)、そちらも併せてご覧ください~(こちらのB-27の項です)。

【ZIP FM Z-TIME BIZ】
 ここのフォトギャラリーになぜかわたくしが。
  見付からないよ~?→2008/07/23のところ…

※注意!弁理士さんや知財部門のご担当など、クロートの方へ!
  このブログでは、わかりやすくするために、正確でない表現を使ったり、はしょったり、大雑把にしてたり、…等々してますが、目くじら立てずに見逃して下さい<(   )>
  また、判例・新着審決・最近の話題は、“ホットなうちに”スピード重視でご紹介しておりますので、読み間違い・勘間違い・理解間違いがあるかもしれません。疑問を感じられたらご一報いただけるとありがたく存じます<(   )>

コメント

タイトルとURLをコピーしました