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<平成23年(行ケ)第10207号 審決取消請求事件>(判決文はこちら)
半年くらい前に、米国でA社のマルチタッチの特許が認められたというニュースが話題になっていたと思います。
(例えば→「アップル、マルチタッチに関する特許を獲得――申請から3年を経て」2011年6月23日 COMPUTERWORLD、
→「「マルチタッチ操作はアップルのもの?」 – iPhone関連の特許をめぐって大騒ぎに 」2011年6月23日 WirelessWire News)
件の特許出願は2007年12月に出願されていたのですね。
一方、USでは、「Multi-Touch」という商標の出願が拒絶されたとかなんとか…
(例えば→「Apple、「マルチタッチ」の商標登録を拒否される」2011年10月3日 IT media)
うーん、これかな?Serial No.77219819 (USPTOさん固定リンク、ステキ IPDLもよろしくね)
今日ご紹介する判決は、そのA社さんの「MULTI-TOUCH」という商標の出願の拒絶審決取消請求事件です(あ、もちろん日本のハナシです)。
本願商標をもうちょっと詳しく見ると下記のような感じでありまして、2007年1月2日が優先日となっています。
「MULTI-TOUCH」(標準文字)
指定商品:第9類「MP3プレーヤー,デジタルオーディオプレーヤー,携帯電話,電話・ファクシミリ・電子メールその他の電子データの送受信機能を有する携帯電子機器,コンピュータ,コンピュータソフトウェア,コンピュータ周辺機器,携帯情報端末,電子手帳,その他の電子応用機械器具及びその部品」等。
この本願商標が拒絶審決を受けたのは3-1-3 & 4-1-16該当性が肯定されたからでありまして、つまりは、識別力がない&マルチタッチ方式でないコンピュータ等に使うと品質誤認を生ずるおそれあり、という理由でした。
審決の理由の要点をめちゃかい摘みますと、『「マルチタッチ」はつまりそういう意味でしょ&多くの他社さんも使ってるしね』ということでした(←かい摘み過ぎやろーという方は、判決文2~3頁をご覧ください(汗))。
さて。
いわゆる“マルチタッチ”なる技術が一般ピープルにも知られるようになったのは、iPhone(アイフォーンね、発音注意w)とかiPod touch のA社さん製品の発売後(2007年以降)でしょうか。…と、原告A社さんは主張されております(判決文4~6頁)。
カナダとかCTMとかマドプロでは商標登録されているようですね(判決文6~7頁)。なんで日本は認めんのだ、ケチ、というところでしょうか(USもだね?)
ちなみに、JPOの拒絶審決が出されたのは2011年2月、つまり今年でありました。
それでは、裁判所がどのように判断したのか、見てみたいと思います。
■裁判所の判断
認定事実(判決文9~12頁)によると、
『「マルチタッチ」又は綴りを同じくする「Multi-Touch」の文字は,遅くとも平成15年(2003年)までには,我が国と米国の複数のタッチパネル等の開発者によって,複数の指でタッチパネル等の機器に触れることによる入力・操作方式を示すものとして使用されていた』ようです。
発明の名称等で使われたりしとって公開公報とかに記載があったんですね。
『そのような入力方式に対応するタッチパネルが原告の「iPhone」等に採用されたことにより一般にも注目され,本件審決時までには,上記の入力方式を示す用語として用語辞典等にも収録され,かつ,パソコン,タッチパネル,スマートフォン等の各種商品について,これらの商品を製造する会社はもとより,出版社や新聞社等においても,上記の入力方式を示す用語としての使用が広がったことが認められる。』ようです。
なので、
『「マルチタッチ」を欧文字で表記した本願商標に接した上記商品の取引者,需要者は,上記の入力方式を意味するものとして理解するのであって,自他商品の識別機能を有しないものと認めざるを得ない。』とのことです(判決文12~13頁)。
そういうわけで、本願商標の3-1-3 & 4-1-16該当性は、裁判所でも肯定されました(判決文13頁)。
その他、原告アップルさんの主張に対し、裁判所が述べているところがありますので、詳しくは判決文をご覧ください(判決文13~15頁)。
■コメント
わたくし、出張用PCはMacBookAir、iPadも使わしてもらっておりますが、スマフォはGalaxyです。
一緒に鞄に入れとくと、喧嘩が始まるんですよー(ウソ)
…あれ?全然コメントになっとらんかった(汗)
本日は以上です!次回も見ていただけるならぷちっと押してくださいな(。-_-。)/
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この記事を読んでひろた興味を持たれた方は…
【紹介記事】
知らないうちに、紹介記事を書いてくださっていました(1年近く前の講座ですが、たまたま発見しました)。
2010年9月 岐阜県立城北高等学校での講座
【執筆記事】
「知財管理」誌 VOL.60 NO.6
(並行輸入と商標権侵害 -並行輸入の抗弁における「同一人性の要件」及び「品質管理性の要件」-)
「知財産管理」誌 VOL.58 NO.5
(「腸能力」審決取消請求事件(平成19年(行ケ)第10042号 審決取消請求事件)
「パテント」誌 2011.2 Vol.64
(部分意匠に関する判例研究 -類否判断を中心に- 包装用容器事件)
字数制限が厳しかったので尻切れトンボ気味ですが…
【関係事件】
代理人になった事件です。負けたのでご紹介するのをためらっておりましたが、思い切って…。
平成18年(行ケ)第10367号審決取消請求事件
なお、牛木理一先生のHPで紹介いただいているので(「特許ニュース」2007年6月29日号の記事です)、そちらも併せてご覧ください~(こちらのB-27の項です)。
【ZIP FM Z-TIME BIZ】
2008/07/23 商標の話題で出演
※注意!弁理士さんや知財部門のご担当など、クロートの方へ!
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