デザインの知財クリアランスは異局面へ?

弊所の2016年の業務が本格的に始まりました。

ここで、2015年の知財の動きをしみじみと振り返っちゃう(なぜ年が改まった今、振り返る?)

2015年は、著作権絡みの事件に揺れた年でしたね。ぶっちゃけ、わたくしの業務にもダイレクトに影響しました。
そんな事件を思い起こしてみます。

まず、TRIPP TRAPP事件。

従来、大量生産される実用品(いわゆる「応用美術」)については、登録意匠を気にして意匠調査したり、不競法の形態摸倣(や、有名なら商品等表示)を気にすることあっても(追記:怪しかったら立体商標も調査するけど、そういうのは目立って、ある意味わかり易いので…)、それらをクリアした製品について、著作権を気にするってのは、ほぼほぼなかったです。 ですよね? だよね? (だもんで「ジェネリック」って言ってたわけで)

それが、このTRIPP TRAPP事件では、知財高裁が
“応用美術であっても,作者の何らかの個性が発揮されたていれば,創作性があるものとして著作物性が認められ得る”
という驚愕(!)の判決を出したことはご存知のとおり。

だもんで。今までと同じようにはできんくなりました。

意匠権や不競法がクリアできたとしても、ひょっとしたら著作権があるかも!?を気にせねばならんようになったわけです。

しかしね。
「作者の個性」と言われても、それが発揮されとるのかされんとらんのか、ぱっと見でわかればいいですけど。極論を言えば、どんなデザインでも、個性が発揮されとると言えないこともないわけで。ちょっとエクストリームな考え方ですけど。
いずれにせよ、「ジェネリック」と言われるような広く出回ってる系デザインでも、現場としては、著作権も気にせねばならんものの一つになったわけです。

出どころがわかるジェネリックみたいなデザインならまだしも、どこに潜んどるかわからん著作権を変に気にしてデザイン活動が妙な方向に萎縮せねばいいのですが。

「“どこに潜んでるかわからん”という場合は、相対的権利だから気にすることはないじゃん?」とか言ってもね。

あの「エンブレム問題」が。

そう、もう一つのビッグな事件は、一般ピープルも巻き込んで大騒ぎになったオリンピックの「エンブレム問題」です。

佐野氏のエンブレムデザインについて、大方の法律家の意見は「法的に問題なし」だったように思いますが、トートバッグ問題が発覚してからは、コトは大きくなるばかり。
“感じが似てる” 粗探しに拍車がかかり(例えば、東山動物園のロゴ)、法律家の言うことなぞ聞ぃーちゃいない状態に(というか、届いとらんかっと思うけど(汗))。

この事件では、
「“感じが似てる”’とレッテル貼られてしまうと、たとえ法的リスクはなくても、炎上リスクに晒される可能性がある」
という恐ろしい現実を突きつけられました。

この事件があってから、お客さまが「思わぬところからイチャモン付けられると嫌だ」と考えるようになったのも事実です。

以上の2つの事件があってから、プロダクトデザインであろうとシンプルなロゴデザインであろうと、「知財クリアランスに著作権を含めて欲しい」と要望されることが増えてきました。

法律に正しいことと、商売上上手くいくこととは、連動しないことが多いとしても。

我らとしては、
「たとえ思わぬところからイチャモン付けられたとしても、胸を張って“侵害ではない”とクリアに説明でき、その説明によって炎上もさせないような周到な準備」
が、いままでより一層必要になったと思います。

2015年はそんな年でございました… しみじみ…(←  って、しみじみする時期が違うな!?年末だな、普通)

そんな想いを胸に、2016年も頑張っていこうと思います。
皆さま、今年もどうぞ宜しくお願いいたします。

 

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