ネットでヒットすれば、タナボタ周知認定?

名古屋で桜も散りつつありますが、先々週、弊所が商標登録を代理した地元の某アイドルグループ(?ちょっと違うか?)が某花見会場にやってくるというので出掛けましたところ、マネージャーらしき方に「商標登録してくれた弁理士さん!」と紹介していただいて、メンバー(女子)の真ん中に入って写真を撮らせていただいてご満悦だった ひろた です、皆さま、いかがお過ごしでしょうか。
さて皆さん。
唐突ですが、日本の商標法は先願主義を採用しとりますよね。先願主義とは、ご存知のように、原則として、“先に出願した方が勝ち(権利を与えられる)”というシステムでございます。
例外として、既に周知著名になっていたり(4条1項10号,15号)、出願の経緯がよろしくないと認定されたり(4条1条7号、19号)したとき等は、“先に出願しても勝ち”になりませんが、そういった例外事情がなければ、“先に使用したvs先に出願した”ケースでは、“先に出願した”が勝つことになっとります。
ここで、特に周知著名性について考えますに、周知性の甘め判断が度を越してしまうと、ちょっと使っとけば引用商標になり得るわけで、先使用主義なんだか先願主義なんだか、よーわからんことになってしまいます。
一方、逆に、厳しめ判断が度を越してしまうと、いわゆる悪意の商標登録(抜け駆け登録)を許してしまうことになり、これまた具合が悪いです。
だので、周知性認定の判断には、この辺りのバランスっちゅうか、ええ塩梅が求められるところで、なかなか難しいとは思います。
まあでも、実務家としましては、あるときは甘めに判断しろと主張したり、別のときは厳しめに判断しろと主張したり、お客さんの立場によってコロっと意見を変えざるを得ませんね。
だって
「代理人だもの。」
(みつを風)
ところで、最近、JPOの周知性の判断が、甘め方向にシフトしてるような気がするのは、わたくしだけでしょうか?
ネットで数件しかヒットしない程度の類似商標が引用されて、4条1項10号該当と判断されたりすることがあります。
(もっとも、一地方で周知であればOKなので、ネットで多数ヒットしないからといって、必ずしも周知でないとは言えませんが。けど、東京在住の審査官が、どうやって”一地方で周知”であるとわかったのかは、知りたいところ。)
この逆バージョンで「ほぇ?」と思ったケースは、あるお客さんが、店舗を新規開店するちょっと前から、SEOで頑張ってネットで店舗名をヒットさせるようにしてたら、そのお客さんが出願した商標に対し、ご自身の店舗名が引用されて4条1項10号に該当すると判断されたことです。
えらく地方だし、開店前だし、言うほどネットのヒット数多くないし、審査官はどうやって”一地方で周知”であることを知ったのか、興味をそそられます。(もっとも、ヒット数が多いからといって、必ずしも周知であるとは言えません。SEOで頑張った結果かもしれんし。)
ってゆーか、このケースは、むしろ「周知認定してくれてありがとう!」的な、タナボタ周知認定だからオケだけど。
といったよーに、最近の未登録商標の周知性判断について、若干の「?」を感じておるところでございます。
それで。
次回は、『JPOの周知性の判断が、ちょっと甘め方向にシフトしてる?』つながりの判例をご紹介いたします。
ということで、今日はこれでおしまい!

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