29. 石けん百貨事件(H29(ネ)1737)
【テーマ】 検索連動型広告
【メモ】
検索連動型広告の商標権侵害の有無について初めて判示された事件。
ネットショッピングモールの運営者につき商標権侵害の責任に関する判断基準も示した。
○概要
X 「石けん百貨」×石けん 等の登録商標を有する
Y 「楽天市場」運営者。出店規約で、知財権侵害や隠れ文字の使用等を禁止していた
「石けん百貨」をネット検索すると、検索連動型広告スペースに、楽天市場へのハイパーリンク施した「石けん 百貨大特集」「石けん百貨【楽天】」等の文言が現れた。ハイパーリンクをクリックすると、楽天市場サイトにおいて「石けん百貨」等をキーワードとした検索結果が表示されたリスト画面へ移動し、加盟店P1が販売する石けん商品が表示された。このYの行為が、商標権侵害行為に該当するか否かが争われた。
Yは、本件訴状を受領してすぐにP1の出店ページを確認調査したところ、「石けん百貨」等が隠れ文字として使用されていたことを発見、同日にP1の商品ページをサーチ非表示とし、P1に隠れ文字の削除を求めた。
○問題点
(1) 検索連動型広告のキーワードとして他人の登録商標を利用した場合、商標権侵害になり得るか?
・検索結果表示画面に見出し等としてキーワードが表示されるケースと、キーワードが表示されないケースとがある。メタタグと同様の問題。
本件は前者のケースだが、後者のケース(キーワードが視認できない場合)が特に問題となる。
(2) ハイパーリンク先のサイトには登録商標が表示されていなくても、商標権侵害になり得るか?
本件広告は、ハイパーリンク先の表示画面と一体となって需要者に認識されるとして、ネットショッピングモールの運営者による商標の「使用」を肯定
2018.11のINTA Asia-Pacific Conferenceで講演した内容
– Ad Words, Metatags and Trademarks, Oh my: How to enforce your trademark rights on an uneven playing field
ECプラットフォームやGoogleへの模倣品(販売サイト)削除要請について

ISPが持っている情報が開示されやすくなるそうで、キーワードバイのようなケースにも対応できるかも…?byK先生
30. 招福巻事件(H20(ネ)2836)
【テーマ】 普通名称
【メモ】
○概要
X 「招福巻」×加工食品等 の登録商標(S63年に登録)を有する。
遅くともH17までには「招福巻」の商品名が極めて多くのスーパーマーケット等で販売されている等。
Y H19.1~2 ジャスコにて「十二単の招福巻」×節分用の巻き寿司販売・チラシ等頒布。
X は、Yの行為が商標権侵害行為に該当するとして訴訟提起、原審は”みなし侵害”認定、26条1項2号該当性認めず。
○本判決
極めて多くのスーパーマーケット等で、巻き寿司に「招福巻」と表示されていることや、
辞書に「招福」の語が収録されなじみやすい語であり、「巻」を加えたら一般需要者は普通名称化として理解しうること等を踏まえ、普通名称と認定。
○普通名称化を防ぐ商標管理
取引者への警告や出版社へ書籍等の記載訂正申し入れを十分に行わなかったこと等が普通名称化の認定根拠になることがある。本事案では、H19から警告し始めたXの動きは遅きに失したと評価された。
『権利の上に眠る者は保護に値せず』を考慮すると、積極的に権利行使していくべき… ですが、権利行使にもお金がかかる。もっとカジュアルに権利行使できるような仕組みが必要かな?
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