商標

【韓国商標】初の位置商標認定

1.大法院による過去の判決の変更

2012年12月20日、韓国大法院は、位置商標を認定する初の判決を出しました(大法院2012年12月20日付言渡し2010フ2339判決)。商標法における商標の定義規定から位置商標の保護を認容すべきと判示し、過去の判決を変更しています。

本件出願商標は、「スポーツシャツ」等を指定商品とし、一点鎖線で示された上着形状に、脇腹から腰までの位置に実線で3本線を表したものです(出願番号:第40-2007-31449号)。


2.KIPO及び特許法院での判断

これまで、KIPO及び特許法院は位置商標を原則的に認めていませんでした。
今回の事案でも、KIPOは、一点鎖線部分を含めた全体を商標として扱い、“指定商品である「スポーツシャツ」の形状を普通に使用する方法で表示する商標であり、使用による識別力も獲得していない”という理由で、拒絶審決を出しました。
また、拒絶審決取消訴訟が提起された特許法院も、3本線は商品を装飾する柄の一つと認識されるだけなので識別力が認められず、また、使用による識別力も認められない等として、原告(出願人)の請求を棄却する判決を出しました。

3.今回の大法院の判断

これに対し、大法院は、商標の定義規定は、、記号・文字・図形、又はその結合を用いて視覚的に認識できるように構成される全ての形態の標章を商標の範囲に包摂しているものであり、このような規定によれば位置商標も商標の一種と認められる、としました。

また、出願及び審査過程で、出願人が位置商標である旨を明らかにする手続又は権利不要求手続が設けられていないという理由をもって位置商標を否定することはできない、としました。

そして、本件出願商標は、その構成・指定商品との関係等や、審査過程において明示された出願人の主張趣旨等からすると、3本の太線が指定商品の脇から腰までの位置に付されることにより自他商品を識別できる位置商標であり、一点鎖線の部分は、本件出願商標の標章そのものの外形を成す図形ではないとみなすことが相当であるとして、特許法院判決を破棄差戻ししました。

詳しくは、ジェトロソウル事務所知財チームによる仮訳による判決文をご参照ください。
http://www.jetro-ipr.or.kr/notice_view.asp?notice_idx=244

                                                                参考: KIM&CHANG Legal Updates

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