【所内勉強会】民事(知財)の紛争解決手続について
- 2014.03.07
2014年3月7日、AIGIグループ あいぎ法律事務所 早瀬久雄 弁護士による所内勉強会を開催しましたので、概略をご報告いたします。
民事(知財)の紛争解決手続について
1 紛争解決の手段
①訴訟外の交渉 ②調停 ③訴訟
2 調停(仲介者を介した話し合い)
・簡易裁判所による民事調停 cf.家事調停の調停前置主義
・愛知県弁護士会の紛争解決センター
・日本知的財産仲裁センター
<メリット>
非公開、解決までの期間、コスト、調停成立すれば強制執行可
<デメリット>
話し合いに応じるかどうかに強制力なし → まとまらなければ不成立
3 訴訟(保全、本案訴訟、執行)
(1)保全
仮処分(製造販売の差止め)の申立て → 認められても後で本案訴訟の提起必要
本案訴訟との違い 疎明(証明までは不要)、担保必要
保全処分が認められなかったのに本案訴訟すると形勢不利
(2)本案訴訟(侵害訴訟)
ア 管轄
特許・実用新案権 → 東京地裁と大阪地裁の専属管轄
控訴審は知財高裁
意匠・商標等の他の知財訴訟 → 通常の管轄(義務履行地や不法行為地)
東京地裁や大阪地裁でもOK
控訴審は1審を管轄する高裁
イ 審理の関与者
裁判官、原告・被告の各当事者と代理人・補佐人
特許事件:調査官(特許庁審査官や弁理士)と専門委員(大学教授など)
ウ 審理の進行
口頭弁論と弁論準備手続
侵害論と損害論の二段階審理(侵害論の段階で無効論も審理)
原則書面審理で、尋問なし
→ その代わり、特許事件では侵害論の最終段階で技術説明会(審取でも)
※技術説明会
裁判官の前で双方代理人によるプレゼン ← 裁判官を説得する場所
専門委員が同席して質問もする
侵害論の最終段階で心証開示 → 和解勧告
(3)クレーム解釈
裁判官は、文章や用語の文言・国語的解釈だけで判断しない
4 質問について
Q 特許侵害訴訟における、あいぎ特許の弁理士との役割分担
A 侵害論や無効論での主張展開を協働できる
例)弁理士と弁護士とで議論し、その結果を弁護士が書面化し、相互にチェック
Q 保全手続に要する時間
A 本来、保全は迅速性が求められる手続だが、知財ではちょっと違う
時間かけて行われるため、本案訴訟とあまり変わらない
保全手続の中で、和解が成立することもある
Q 保全が認められたのに本案訴訟提起しない場合はどうなるのか
A 保全が取り消される
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