今さらですが貼ってください

<平成21年(行ケ)第10209号審決取消請求事件>(判決文はこちら

 mizurjuさんからリクエストいただいたこともあり、また、自分も本当は商標より意匠萌えなので、これから5回に1回は意匠のハナシをしていく所存でございます(…おそらく)。

 でも意匠の判決文やら審決文でしばしば困るのが、「図が入手できない~」ということ。
 図がなければご紹介しても面白くありません。

 一方、「図がありすぎ~」てしまうのも困りもの。画像アップで力尽きてしまいます。
 それで今まで敬遠しておりましたが、これからは根性で頑張ります。ただ、気合を入れる必要があるので、判決やらが出た直ぐ後は厳しいかなぁ。

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 本日は、図が掲載されていて、かつ、なるたけ直近の判決…ということで、去年の暮れに判決文がアップされた事件をご紹介いたします。少々薹が立っておりますが(いや、私でなく)、わりかし面白い事件です~。

 概要をごく簡単に説明すると、原告さんは、下記本件意匠の登録に対し無効審判を請求したのですが、審決では請求が認められなかった(無効にならなかった)ので、本件の審決取消訴訟を提起したのでありました。

 本件意匠(登録第1322072号)。部分意匠で、意匠に係る物品は「貼り薬」でございます。剥離シートを剥がして貼るやつですね。
 意匠に係る物品の説明によると、意匠登録を受けようとする部分の着色の仕方で「使用者は、本物品の剥離シートを剥がした後でも、露出した膏薬部と左右の剥離シートの境界をより視認し易くなり、患部に適切に当てがい貼付し易くなる。」とのことです。
 また、意匠の説明によると「この意匠の剥離シートは、模様部分(着色部分)を除いて無色透明である。」とのこと。
 
 剥離シートの一部を剥がした状態の斜視図
 

  無効審判では、この本件意匠が、下記の引用意匠と類似(3条1項3号)又はこれに基づいて容易に創作できたか(3条2項)等が争われたのでありました。

 引用意匠(登録第1189179号)。意匠に係る物品も「貼り薬」です。
 意匠の説明によると「本物品の剥離シートは透明である。」とのこと。 
 


 ちなみに審決では、3条1項3号の類否判断において、下記の公知意匠が参酌されてます(本件では甲2~甲5公報)。
  
 甲2公報(登録第1189189号。原告さんの登録意匠)。引用意匠よりも後願のものです。
 
 甲3公報(実開S63-203020、第7図)
 
 甲4公報(登録第1129245号)
 
 甲5公報(登録第1129605号)
 
  

 いずれの意匠も、中央に括れのある背割線が設けられた態様でございます。

 無効審判では、
  上記公知意匠(甲2~5公報意匠)を参酌しつつ、
  ・本件意匠と引用意匠は類似してない、
  ・本件意匠は公知の形状・配色によって容易に創作できたものではない、
 と判断されました。

 さて。
 訴訟ではどのような判断がなされたのでしょうか。

 …については、次回にて。(やはり画像アップで少々力尽きました…)
 次回も見ていただける方、ぷちっと押していただけると嬉しいです。
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コメント

  1. Unknown
    広田さん、嘆願によって意匠の料理を提供いただいたことありがとうございました。
    剥離シートという結構は中国の「貼り薬」にはありませんね。中国では、シートは一体ですので、全部剥がして貼らなければなりません。それで、貼るとき、「貼り薬」の一部分と他の部分がよく癒着するので、とても不便です。
    こうの意匠を採用すればこの問題を解決できると思います。立派な意匠ですね。

    訴訟の結果を期待しています。

  2. Unknown
    広田さん、嘆願によって意匠の料理を提供いただいたことありがとうございました。
    剥離シートという結構は中国の「貼り薬」にはありませんね。中国では、シートは一体ですので、全部剥がして貼らなければなりません。それで、貼るとき、「貼り薬」の一部分と他の部分がよく癒着するので、とても不便です。
    こうの意匠を採用すればこの問題を解決できると思います。立派な意匠ですね。

    訴訟の結果を期待しています。

  3. Unknown
    mizurjuさん、こんばんは!

    そうですね、全部シートを剥がさなければならないと、不便ですし、イライラしますね…

    本件意匠は、一見してシートを剥がしやすそうですね~。慌て者の私でも大丈夫そうです。

    次回をお楽しみに!

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