皆さんこんにちは。暑いか寒いかどちらを選べと言われたら暑いを選ぶひろたです、皆さんとろけてませんか?
さてさて、前回の記事でご紹介した判例で「識別番号」の話が出てきましたね。
知財業界の住人であればこの「識別番号」とは何たるかをご存知だと思いますが、JPO(というかJPO長官)が手続者に対して付与する9桁の番号です。一回でも出願等の手続をすると、その出願人には自動的に「識別番号」が付与されます。
一人の手続者に一つの番号しか付与されないことになっています。
…と、ここまでは、JPOみたいな優等生的な解説です。
実際には、一つの出願人に複数の「識別番号」が付与されているケースもしょっちゅうあります。そして、それが曲者となって、いろいろと悪さをすることがあります。
例えば、特許だと29の2とか、優先権・分割等で出願人が同一でないと判断されると厄介ですね(意匠も3の2とかね)。ただ、これらは期間限定(29の2なら先願公開まで、優先権なら基礎出願から1年まで…など)ですので、その期間が過ぎると同一人であろうとなかろうと関係ないっちゃあ関係ないです。
一方、商標の場合ですと、厄介なのは4(1)11でして、先願先登録が存続する限り、ずーっと出願人同一かどうかの問題を引きずることになります。
では、なして同じ法人(個人)なのに「識別番号」がいくつも付いちゃうの?
一つの「識別番号」は、「氏名/名称」*「住所/居所」のセットで決められますので、「氏名/名称」及び「住所/居所」の全てが(ほぼ)完全同一でないと、同じ「識別番号」の出願人とはみなされません。
したがいまして、
・社名・氏名について複数の読み方や表記が考えられ、統一されずに複数の読み方や表記で出願されてしまった(在外者に多い)、
・住所に変更があったことに気づかれずに、異なる住所で出願された、
などといった場合は、本当は同じ出願人なのに、異なる出願人とみなされて異なる「識別番号」が振られることになります。
一番目の例に関しては、例えば、漢字圏のお国ですと、本国で「愛岐有限公司」という名称でも、出願依頼レターには「AIGI Co. LTD」なんて書いてあったりすることがあります。その場合、依頼レターでの指示そのまんまで出願しようとすると、願書の出願人欄には「エイアイジーアイ シーオー.エルティディー」とか記載されたりします。
ここで、いやいやまてよと、ネットで本国での名称を調べて「愛岐有限公司」なんていう表記を発見すると、念のために「愛岐」とか「アイギ」が含まれる表記の出願人をJ Plat-Patで検索して、住所が似ていると「おや、さてはこの出願人と同一なのではないか?」と疑問を持って、依頼側に問い合わせるわけです。そして、「Yes、愛岐有限公司と同一です。過去の出願での表記でオッケー!」という回答を得られれば、その「識別番号」使って出願することで、統一が図られるわけでございます。
この場合、もし「エイアイジーアイ シーオー.エルティディー」で新規出願をすると、その新規出願には別の「識別番号」を振られてしまいます。
また、二番目の例でも、出願人さんからお知らせいただいた住所をそのままスルーで鵜呑みするんじゃなくて、過去の出願等をちょっと調べると「おや、これは住所が変わっているのではないか?」と気づくことがございます。
弊所の場合ですと、何も言わなくても、こういったことを事務スタッフさんが華麗にやってくれますので、わたしなんか、もう、鼻チョーチン作ってブラブラしながら、お任せしとります。
とまあ、弊所の事務スタッフさんのプチ自慢になってしまいましたが、気の利く事務スタッフさんて、ほんと重宝しますね。安心して実務に専念しとられるのも、そんなスタッフさんのおかげです。
それよか、JPOの「同一」の判断も、若干厳しすぎるきらいがあると思いませんか?ちょっと住所の表記が違うだけで違う識別番号を振ったりして。ネットが普及していなかったアナログ時代に「○○大学と大通りをはさんだ北側の白いマンションの○○号室」と書いたらちゃんと届けてくれた郵便屋さんを見習ってください!と心の中で思わず叫んだりします。(最近はJPOもちょっと緩くなったかな…?)
今日はこれでおしまい!
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