昨日は、登録意匠1につき、無効の抗弁が認められた(実質的には地裁の判断)…てなことをご紹介いたしました。
ところで、意匠の侵害訴訟において、無効の抗弁はどのくらい利用されて、どのくらい認められとるのでしょか?
JPOが統計を発表しとります。
「平成21年度知的財産権制度説明会(実務者向け)テキスト」審判制度の運用と概要>審判の概要(制度・運用編)
↑↑↑
16頁あたりを見てね。
2001年~2008年で侵害訴訟が47件あって、そのうち無効抗弁がなされたのが18件あって、そのうち無効の判断があったのが8件(44%)ですかー。一方、特許の場合の無効判断の割合は7割ですかー(ただし2000.4~2008.12)。
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それでは、本日は登録意匠2についてです。
■登録意匠2について
昨日触れたように、登録意匠2の意匠権に関しては控訴されてません。なので、原審での判断をご紹介いたします。
原審では、被告製品(5種類あったようです)は登録意匠2と類似しないと判断され、意匠権侵害が認められませんでした。
登録意匠2(登録第1238637号)はこちら。「鉄筋用スペーサーの成形金型」
↓こんな風に、別途準備された枠体に複数並べて使うようです(参考図(1)及び(2))。
一方、5種類あったと思われる被告製品はどんなものかというと…
わかりません(すみません)。
(なお、被告さんのHPにそれっぽい「鉄筋用スペーサ」が掲載されていたりしますが、成型金型については掲載されていないような…よろしければご参照ください→被告さんのHPはこちら)
○原審では、複数の公知意匠を参酌して、登録意匠2の要部を認定しています。
その公知意匠のうち、主として参酌されたものをご紹介します。
・被告さんのカタログに掲載されていたスペーサー。これらスペーサーの意匠は、成形金型の形状を反転させた形状として、参酌されています。
・被告さんが使っていた旧成形金型。
これら公知意匠を参酌した結果、上記登録意匠2の要部は以下の点だとされました。
(↓「取付座」:胴体(キャビティ)を形作っている囲い壁面の上縁部から水平に張り出した一対の平行な取付座)
Ⅶ 側面から見て,取付座は,階段状に水平に張り出しており,取付座の上側に位置する金型部位は,取付座の下側に位置する金型部位よりも幅広に形成されている。
上記構成態様Ⅶが要部とされた理由です(原審判決文97頁)。
『同取付座に設けられている本件階段状部(構成態様Ⅶ)については,本件証拠上,かかる構成態様が公知ないし周知であったことを認めるに足りる証拠はない。
また,上記アのとおり,本件階段状部は,本件登録意匠2に係る物品を枠台に取り付けて使用する際,「仕切り桟」と「押え板」とによって挟持固定するためのものであり,前記ア(ア)の参考図(1)及び同(2)によれば,本件階段状部を設けることによって,枠台への固定後は,枠台の天板と成形金型の取付座が同一面になり,成形金型に生コンクリートを流し込んだ際,余分な生コンクリートを容易に掻き取ることができ,しかも本件階段状部同士で隣り合う2つの成形金型の間に仕切り桟が嵌まり込むことによって,同成形金型間へ生コンクリートのノロが入り込むこともないという効果を奏する。逆に,被告のように成形金型を単に枠台に乗せて使用するような製造方法(前記1(2)ア)を採る場合には,本件登録意匠2のような成形金型を使用すると,本件階段状部によって形成された窪みに生コンクリートのノロが入り込んでしまい,容易に掻き取ることもできないので,製造において大きな支障を来すことになる。
このように,本件階段状部は鉄筋用スペーサーの製造方法と直接結びつくものであり,需要者たる鉄筋用スペーサーの製造業者の注意を強く惹きつける部分ということができ,また成形金型全体の美感に与える影響も大きいものと認められる。』
登録意匠2と5種類の被告製品との類否判断においては、登録意匠2と各被告製品の差異点が構成態様Ⅶにかかる部分であり、類否判断に大きな影響を与えるので、各被告製品は登録意匠2と類似しない、と認められました。
以上より、各被告製品を使用する行為は本件意匠権2を侵害するものとは認められない、とされました。
ふと思うちゃのだが、この控訴審、5月にアップされたのになぜ今頃気づいたんだっけ?という疑問を若干感じつつ、本日はこの辺で。。。
次回も見ていただける方、ぷちっと押していただけると嬉しいです。
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この記事を読んでひろた興味を持たれた方は…
【執筆記事】
「知財管理」誌 VOL.60 NO.6
(並行輸入と商標権侵害 -並行輸入の抗弁における「同一人性の要件」及び「品質管理性の要件」-)
「知財産管理」誌 VOL.58 NO.5
(「腸能力」審決取消請求事件(平成19年(行ケ)第10042号 審決取消請求事件)
内容はこちらからどうぞ
【関係事件】
代理人になった事件です。負けたのでご紹介するのをためらっておりましたが、思い切って…。
平成18年(行ケ)第10367号審決取消請求事件
なお、牛木理一先生のHPで紹介いただいてい
るので(「特許ニュース」2007年6月29日号の記事です)、そちらも併せてご覧ください~(こちらのB-27の項です)。
【ZIP FM Z-TIME BIZ】
ここのフォトギャラリーになぜかわたくしが。
見付からないよ~?→ここです
※注意!弁理士さんや知財部門のご担当など、クロートの方へ!
このブログでは、わかりやすくするために、正確でない表現を使ったり、はしょったり、大雑把にしてたり、…等々してますが、目くじら立てずに見逃して下さい<( )>
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コメント
Unknown
記事とは関係ないコメントですいませんが、大勢の一般
市民が電磁波兵器で攻撃されて洗脳させられた上に頭も
見た目もおかしくさせられてます。本当に一般市民が
目に見えない兵器で攻撃されてるんですよ。電磁波犯罪
集団ストーカーという言葉で調べてみてください。兵器
による攻撃をやめさせて洗脳された上に頭も見た目も
おかしくされた日本人を本当の日本人に戻しましょう!!